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書誌情報

Vol.54 No.2 March 2006

原著・臨床

発熱性好中球減少症に対するmicafunginによる経験的治療例

石川 崇彦1), 高田 徹1), 友寄 毅昭2), 増田 昌人2), 仲地 佐和子2), 古賀 震3), 塚田 順一4), 松浦 愛4), 宇都宮 與5), 佐分利 能生6), 田村 和夫1)

1)福岡大学医学部内科学第一, 2)琉球大学医学部第二内科
3)天草中央総合病院(静岡県立大学短期大学部第一看護学科)
4)産業医科大学第一内科, 5)今村病院分院, 6)大分県立病院

要旨

 抗菌薬不応性の発熱性好中球減少症に対するMicafungin(MCFG)の経験的治療についてその有効性と安全性を検討した。成人造血器疾患や固形癌で化学療法施行後に発熱性好中球減少症を来し,抗緑膿菌作用を有する広域抗菌薬使用にもかかわらず発熱が持続する症例に適切な検査を行った後MCFGの投与を行った。MCFGの投与量は主治医の判断により50 mg/日から150 mg/日を1日1回投与として最大300 mg/日まで投与可能とした。MCFGは重大な副作用が認められない限り最低7日間投与して,全身状態,画像検査,血液学的検査を行い主治医による総合効果判定を行った。本研究は九州血液疾患治療研究会(K-HOT)による多施設共同試験とした。期間は2003年4月以降2年間の前向き研究とした。対象症例は13例(男性4名,女性9名),基礎疾患は造血器疾患が12例,乳癌が1例で,MCFG投与開始時の好中球数は,100/μL未満が6例,100/μL~500/μL未満が4例,1,000/μL以上が3例であった。総合評価では有効が11例(85%)であり無効が2例(15%)であった。無効例のうち1例はMCFGの投与を継続し14日目には有効と判断,他の1例は肝障害のため7日目にMCFGの投与を中止した。臨床試験中の真菌感染による死亡例はなく,抗菌薬不応性の発熱性好中球減少症に対しMCFGは有効で安全な抗真菌薬であることが示唆された。

Key word

febrile neutropenia, micafungin, empiric therapy

別刷請求先

福岡市城南区七隈7-45-1

受付日

平成17年11月5日

受理日

平成18年1月30日

日化療会誌 54 (2): 125-128, 2006