Vol.54 No.3 May 2006
総説
エビデンスに基づいた非小細胞肺癌の化学療法
独立行政法人 国立病院機構山陽病院*
要旨
非小細胞肺癌に対する化学療法の役割に関して概説する。I期II期の症例では,切除後に補助化学療法を行うのが標準的治療法と考えられている。IIIA期の症例に対しては,術前化学療法が広く行われているが,現時点ではこの方法を推奨すべきエビデンスは乏しいので,切除が必要か否かを含めさらなる検討が必要である。IIIB期の症例に対しては,化学療法と胸部照射の同時併用療法が標準的治療法である。IV期症例に対しては,プラチナ化合物と1990年代に開発された新規抗癌薬の2薬剤併用が標準的治療法であり,既治療例に対しては,docetaxelの単剤療法が推奨されている。Gefitinib,erlotinibなどの分子標的治療薬は非常に期待されているが,その有効性はまだ確認されていない。
Key word
non-small cell lung cancer, chemotherapy, EBM
別刷請求先
*山口県宇部市東岐波685
受付日
平成17年8月29日
受理日
平成17年9月29日
日化療会誌 54 (3): 227-231, 2006