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書誌情報

Vol.54 No.4 July 2006

原著・基礎

臨床分離Candida属およびAspergillus属真菌のmicafungin感受性

小林 寅てつ1), 若杉 昌宏2), 池田 文昭2), 長谷川 美幸1), 鈴木 真言1), 堀田 久範2), 左海 清2)

1)株式会社三菱化学ビーシーエル化学療法研究センター
2)アステラス製薬株式会社育薬研究所

要旨

 2003年2月から2004年11月の約2年間に全国の医療機関において各種感染症が疑われた患者より分離したCandida属6種,410株およびAspergillus属4種,280株,合計690株のmicafungin(MCFG)およびその他抗真菌薬7薬剤に対する感受性を測定し,in vitro抗真菌活性を評価した。Candida属に対するMIC測定はNCCLS M27-A,Aspergillus属に対してはNCCLS M38-Pに準拠した微量液体希釈法で実施した。抗真菌薬はMCFG,amphotericin B(AMPH-B),fluconazole(FLCZ),itraconazole(ITCZ),miconazole(MCZ),5-fluorocytosine(5-FC),caspofungin(CAS)およびvoriconazole(VRCZ)を用いた。FLCZ耐性を含むCandida albicans 130株およびCandida tropicalisCandida glabrata各50株に対するMCFGのMICは0.03 μg/mL以下で測定薬剤中最も低い値であった。Candida parapsilosisおよびCandida guilliermondii各50株に対してはMCFGのMICが2~8 μg/mLとC. albicansC. tropicalisC. glabrataと比較してやや高い株が認められ,これらの株に対するVRCZのMICは0.25 μg/mL以下であり,VRCZは測定薬剤中最も低いMICを示した。
 Aspergillus fumigatus 100株に対するMCFGのMIC90は0.015 μg/mLであり,ITCZおよびVRCZのMIC90の1/16,CASのMIC90の1/32であった。その他のAspergillus属180株に対しても同様な傾向で,MCFGは測定薬剤中最も低いMICを示した。
 以上の結果から,MCFGは近年分離されたCandida属およびAspergillus属に対して現在本邦で使用可能な抗真菌薬および欧米で使用されているCASと比較して最も優れたin vitro抗真菌活性を示すことが明らかになった。

Key word

Candida, Aspergillus, micafungin, antifungal activity

別刷請求先

東京都板橋区志村3-30-1

受付日

平成18年3月20日

受理日

平成18年5月24日

日化療会誌 54 (4): 308-314, 2006