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書誌情報

Vol.54 No.4 July 2006

原著・臨床

外科系診療科における注射用抗菌薬皮内反応のアンケート調査

佐藤 淳子, 炭山 嘉伸, 長尾 二郎, 草地 信也, 有馬 陽一, 吉田 祐一, 中村 陽一, 田中 英則, 渡辺 良平

東邦大学医学部外科学第三講座

要旨

 本邦において,長年にわたり実施されてきた注射用抗菌薬投与時の皮内反応が,平成16年9月に原則中止とされたことから,その浸透状況について外科系診療科を対象にアンケート調査を行った。54.0%(148/274診療科)の医療機関において,皮内反応が中止されていた。中止に踏み切った医療機関における最大の問題は,抗菌薬投与開始後の観察に要する人員の確保であり,当学会にて公表されている「従来の抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドライン」に記載されているような観察を実施すべく苦慮されている様子が伺えた。一方,現在も抗菌薬を投与する全症例に対し皮内反応を実施していると答えた医療機関は18.2%(50/274例)あり,その理由のなかには,投与開始後の十分な観察が実施困難なためというものもあった。今回の皮内反応の原則中止については,添付文書における使用上の注意の変更としてのみ情報伝達された医療機関もあり,中止となった理由,すなわち,「皮内反応は,アナフィラキシー発現の予知としての有用性に乏しい」という根拠までは浸透していない可能性が示唆された。また,皮内反応は継続すべきという意見も挙がっていることから,皮内反応中止後におけるアナフィラキシー反応等の発現状況についても調査を行い,適切に評価をすることが重要と考えられた。

Key word

questionnaire survey, antimicrobial agent, intracutaneous reaction test

別刷請求先

東京都目黒区大橋2-17-6

受付日

平成18年2月14日

受理日

平成18年4月7日

日化療会誌 54 (4): 315-320, 2006