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書誌情報

Vol.54 No.4 July 2006

原著・臨床

Levofloxacinと非ステロイド性消炎鎮痛薬併用時の安全性

内納 和浩, 山口 広貴, 安藤 友三, 横山 博夫

第一製薬株式会社市販後調査部

要旨

 38℃以上の咽頭炎,扁桃炎,急性気管支炎を対象としたlevofloxacin(LVFX)の特別調査症例8,856例のうち,感染症以外の合併症・基礎疾患を有さない7,597例について非ステロイド性消炎鎮痛薬(non-steroidal anti-inflammatory drugs: NSAIDs)併用時の安全性を検討した。
 NSAIDsの併用率は64.4%(4,890/7,597)で,「併用注意」と記載されているフェニル酢酸系・プロピオン酸系NSAIDsと併用率は37.2%(2,828/7,597)であった。
 NSAIDs併用有無別の中枢神経系副作用発現率は,NSAIDs非併用群で0.04%(1/2,707),フェニル酢酸系・プロピオン酸系NSAIDs併用群で0.07%(2/2,828),その他のNSAIDs併用群で0.10%(2/2,062)であり,NSAIDs非併用群とNSAIDs併用群との間に有意差は認められなかった。中枢神経系副作用の種類は,めまいが2例,ふらつき感,不眠,眠気が各1例報告されたが,痙攣は認められなかった。
 LVFXの1日投与量別の中枢神経系副作用発現率は,200 mg分2/日投与群で0%(0/458),300 mg分3/日投与群で0.07%(4/5,716),400 mg分2/日投与群で0.10%(1/1,031),600 mg分3/日投与群で0%(0/65)であり,4群間に有意差は認められず,NSAIDs併用の有無で層別した結果でも有意差は認められなかった。
 年齢別の中枢神経系副作用発現率は,65歳未満で0.06%(4/7,088),65~74歳で0.28%(1/358),75歳以上で0%(0/151)であり,有意差は認められなかった。さらにNSAIDs併用の有無で層別した結果でも有意差は認められなかった。
 以上の結果より,基礎疾患・合併症を有さない症例においてLVFXに対するNSAIDsの影響はきわめて小さいことが示唆された。

Key word

levofloxacin, non-steroidal anti-inflammatory drug, adverse effect, safety

別刷請求先

東京都中央区日本橋小網町1-8

受付日

平成18年4月17日

受理日

平成18年5月30日

日化療会誌 54 (4): 321-329, 2006