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書誌情報

Vol.54 No.4 July 2006

市販後調査

各種抗菌薬に対する2002年臨床分離好気性グラム陰性菌の感受性サーベイランス

吉田 勇, 藤村 享滋, 地主 豊, 東山 伊佐夫, 杉森 義一, 山野 佳則

塩野義製薬株式会社創薬研究所

要旨

 2002年に全国15施設において種々の臨床材料から分離された好気性グラム陰性菌19菌種属,1,163株に対する各種抗菌薬のMICを主に微量液体希釈法で測定し,抗菌力の比較検討を行った。腸内細菌科の抗菌薬感受性は,ほとんどのβ-ラクタム系抗菌薬に対して,2000年分離株のデータに比べ耐性化傾向は認められなかったが,ニューキノロン系抗菌薬(NQs)に対する低感受性株を含む耐性株の分離頻度は引き続き上昇していた。Escherichia coliKlebsiella spp.,Proteus spp.におけるextended spectrum β-lactamase産生株と考えられる株の分離頻度は,それぞれ1.4%,1.5%,8.1%であった。Moraxella catarrhalisに対し,多くの抗菌薬は良好な抗菌力を有していたが,Neisseria gonorrhoeaeではNQs低感受性株を含む耐性株は87%と,2000年と同様きわめて高い分離頻度であった。Haemophilus influenzaeにおけるβ-lactamase産生株は6%であり,PCR法によるペニシリン給合蛋白質(PBP)3の変異から判定したβ-lactamase-negative ampicillin-resistant株の分離頻度は50%であった。Pseudomonas aeruginosaに対する各抗菌薬の抗菌力は全般的に低下しており,doripenemのみが,MIC90で8 μg/mLを示した。抗P. aeruginosa薬10薬剤に対する感受性解析の結果,7薬剤以上に耐性の株の分離率は14.4%であった。P. aeruginosa以外のブドウ糖非醗酵グラム陰性菌においても,NQsを含むほとんどの抗菌薬の抗菌力は2000年分離株のデータに比較して低下していた。

Key word

clinical isolate, surveillance, gram-negative bacteria, multi-drug-resistant Pseudomonas aeruginosa, drug susceptibility

別刷請求先

大阪府豊中市二葉町3-1-1

受付日

平成18年3月6日

受理日

平成18年4月10日

日化療会誌 54 (4): 355-377, 2006