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書誌情報

Vol.54 No.5 September 2006

臨床試験

小児感染症患者におけるcefcapene pivoxil小児用細粒の有効性,安全性および薬物動態の検討

砂川 慶介1), 西村 忠史2), 本廣 孝3), 岩井 直一4), 矢野 義孝5), 輪嶋 恵宏5), 藤井 良知6)

1)北里大学医学部感染症学
2)医療法人仙養会北摂総合病院
3)社会福祉法人ゆうかり学園
4)名鉄病院小児科
5)塩野義製薬株式会社解析センター
6)帝京大学医学部名誉教授

要旨

 経口セフェム系抗菌薬であるcefcapene pivoxil(CFPN-PI,フロモックス®小児用細粒100 mg)の小児患者における薬物動態と有効性および安全性を検討するために,市販後臨床試験を多施設共同試験として実施し,集積した128例において以下の結果を得た。
(1)薬物動態評価対象症例110例のデータについてポピュレーション解析を行った結果,みかけのクリアランス(CL/F),みかけの分布容積(Vd/F)はともに体重に比例することが示され,また,体重が10 kg以下の群と10 kgを超える群との間で薬物動態に差はみられなかった。
(2)臨床効果については,呼吸器感染症に対して88.1%(96例/109例),尿路感染症に対して100%(6例/6例)と,高い有効率が得られた。
(3)Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae(PRSP)を含む肺炎球菌に対するMICを他の経口セフェム系薬と比較した結果,CFPN-PIが強い抗菌力を保持していることが確認された。
(4)副作用(症状)は128例中18例(18件)に認められ,発疹1件を除き,残り17件はすべて消化器症状であった。副作用(臨床検査値異常)は116例中11例(15件)に認められ,AST上昇,ALT上昇が各4件で最も多かった。
 以上より,本薬は乳児(新生児を除く)を含む小児の患者において,承認された用法・用量で十分な薬物動態が得られ,また,高い有効性および安全性を示すことが確認できた。

Key word

cefcapene pivoxil, clinical trial, pediatric infection, pharmacokinetic

別刷請求先

神奈川県相模原市北里1-15-1

受付日

平成18年2月27日

受理日

平成18年5月29日

日化療会誌 54 (5): 465-477, 2006