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書誌情報

Vol.54 No.6 November 2006

原著・臨床

Arbekacinの新生児母集団パラメータ解析に基づいた初期投与法の再評価

木村 利美1), 佐藤 雅彦2), 野々山 勝人3), 矢後 和夫4), 石井 正浩5), 砂川 慶介3)

1)北里大学病院薬剤部(現 東京女子医科大学病院薬剤部
2)横浜労災病院小児科
3)北里大学医学部感染症学
4)北里大学病院薬剤部
5)北里大学医学部小児科学

要旨

 小児添付文書用量(2~3 mg/kg×2/24 hr)に基づいてarbekacin sulfate (ABK)が投与された新生児41例(小児添付文書投与量群)を対象とし,非線形薬物動態解析プログラム(Nonlinear Mixed Effects Model; NONMEM)により母集団薬物動態パラメータを算出した。さらにそのパラメータに基づき新生児におけるABK初期投与法を設定し,レトロスペクティブな血中濃度の調査により投与法の再評価を行った。ABK初期投与法はABKのピーク値が7 mg/L以上,トラフ値が2 mg/L以下となるように投与量・投与間隔を設定した。クリアランス(CLABK)は受胎後週数(postconceptional age; PCA)33週付近を境に急激に変化したため,初期投与法はPCA 33週におけるCLABKの±30%のCLABKを与える28週,37週を境界とし,以下の4群に設定した。PCA<28週(4 mg/kg×1/48 hr),PCA≧28週,<33週(3 mg/kg×1/24 hr),PCA≧33週,<37週(4 mg/kg×1/24 hr),PCA≧37週(7 mg/kg×1/24 hr)。
 初期投与法の再評価を行った対象患児は19例(NONMEM初期投与群)であった。小児添付文書投与量群ではピーク値(平均±SD,以下同様);10.3±5.6(3.5~22.2)mg/L,トラフ値;6.0±4.7 (0.4~17.6)mg/Lと高値を示したが,NONMEM初期投与群ではそれぞれ9.0±2.2(5.6~13.3)mg/L,1.6±0.8(0.4~3.2)mg/Lと血中濃度は良好にコントロールされた。
 新生児では1日2回投与によってトラフ値の上昇が認められ,24~48時間間隔投与の本初期投与法の有用性が示された。

Key word

arbekacin, population pharmacokinetics, nonlinear mixed effects model, neonate, dosage

別刷請求先

東京都新宿区河田町8-1

受付日

平成18年6月1日

受理日

平成18年7月18日

日化療会誌 54 (6): 520-525, 2006