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書誌情報

Vol.55 No.2 March 2007

総説

ティーンエイジャーにおける性感染症の蔓延と予防―女性ティーンエイジャーへのアプローチ―

家坂 清子

いえさか産婦人科医院

要旨

 群馬県におけるティーンエイジャーの性感染症を予防する目的で2003年10月に当院の思春期外来における性感染症の実態調査を行った。一方,1993年から高校生を対象とした性感染症講演会を行い,これによる性感染症蔓延阻止効果,さらに家庭環境が子供の性行動に及ぼす影響について検討した。思春期外来を受診した194例中性感染症であった者は54例(28%)で,その内訳はChlamydia trachomatis感染症27例(50%),自家感染症の可能性のある者を含むCandida感染症19例(35%),頸部異型上皮5例(9%),尖圭コンジローマ2例(3.7%),膣トリコモナス症2例(3.7%),淋菌感染症1例(1.9%),そして性器ヘルペスウイルス感染症1例(1.9%)であり,これらの重複感染症は3例(5.6%)に認められた。また,性感染症予防講演会により県の定点ポイントにおける10歳代女性の感染報告数(2004年)は,ピーク時に比してクラミジア感染66.5%,淋菌感染69.7%へと激減した。家庭環境が及ぼす子供の性行動への影響は家庭を「楽しくない」とする子供は,「楽しい」とする子供に比して,中学時代における性行動(キスや性交)経験率が高く,キスから性交へと移行する率も高かった。以上より,ティーンエイジャーとその家庭を対象とした性感染症啓発活動は性感染症の蔓延を予防するうえで重要であると考えられた。

Key word

teenager, Chlamydia trachomatis, prevalence, prevention

別刷請求先

群馬県前橋市表町2-9-2

受付日

平成18年7月4日

受理日

平成18年11月27日

日化療会誌 55 (2): 147-153, 2007