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書誌情報

Vol.55 No.4 July 2007

原著・基礎

各種抗真菌薬の血液由来Candida属に対する抗真菌活性

藤田 信一

金沢大学大学院医学系研究科血液情報統御学

要旨

 血液培養から分離されたCandida属57株に対する,micafungin(MCFG),amphotericin B(AMPH-B),flucytosine, voriconazole(VRCZ),itraconazole, miconazole, fluconazole(FLCZ)の最小発育阻止濃度(MIC)と最小殺菌濃度(minimal fungicidal concentration, MFC)を求めた。生菌数測定には菌の凝集および薬剤のキャリーオーバーを防止するために,菌希釈用生理食塩水にはpolysorbate 80を,サブロー寒天培地にはpolysorbate 80, lecithinおよびhistidineを添加して使用した。MFCは接種菌数の99%が殺菌される最小薬剤濃度とした。
 Candida albicans 14株,Candida tropicalis 11株およびCandida glabrata 14株に対してMCFGは最も優れた殺菌効果を示した。MCFGおよびAMPH-BのMFC90は,それぞれC. albicansに対して0.03 μg/mL, 1 μg/mL, C. tropicalisに対して0.125 μg/mL, 0.5 μg/mL, C. glabrataに対して0.5 μg/mL, 2 μg/mLであった。また,FLCZ耐性のC. albicans 1株およびC. tropicalis 1株は他のアゾール系薬にも交差耐性を示したが,MCFGおよびAMPH-Bはこれらの耐性株に対しても優れた殺菌作用を示した。Candida parapsilosis 16株に対する発育阻止効果はVRCZが最も優れ,MIC90は0.008 μg/mLであったが,MFCは0.03から≧32 μg/mLの範囲に分布し菌株ごとの差がみられ,MFC90は32 μg/mL以上であった。一方,AMPH-BとMCFGは殺菌能に優れ,MFC90はそれぞれ2 μg/mL, 8 μg/mLであった。Candida guilliermondii 2株に対しては,MCFGよりもAMPH-Bの活性が優れていた。一方,今回検討したカンジダ属菌に対するアゾール系薬のMFC90は測定濃度以上であった。以上,臨床的に重要な血液由来Candida属に対しMCFGおよびAMPH-Bは優れた殺菌作用を示した。

Key word

Candida, MIC, MFC

別刷請求先

石川県金沢市宝町13-1

受付日

平成18年9月27日

受理日

平成19年4月20日

日化療会誌 55 (4): 257-267, 2007