Vol.55 No.5 September 2007
短報
北部九州・山口地区におけるoxacillin低感受性および感受性Staphylococcus aureusのmecA遺伝子の保有状況
1)小倉医師会北九州中央臨床検査センター*
2)ひびき臨床微生物研究会
3)産業医科大学医学部泌尿器科
要旨
2005年に北部九州・山口地区において,oxacillin(MPIPC)のMIC 4 μg/mL以下を示すStaphylococcus aureusを対象とし,mecA保有の有無を検討した。さらにKirby Bauer diskを用いcefoxitin(CFX)の阻止円径および寒天平板希釈法によるMICの測定も実施した。収集された323株の微量液体希釈法によるMPIPCのMICは≦0.25~2 μg/mLであった。mecA保有株は9株(2.8%)検出され,そのうち8株は,CFXの阻止円径21 mm以下であり,Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の基準によりMRSAと判定可能であった。mecA保有株の23.5%(4/17)は,外来患者皮膚材料由来株であり年齢別では,5歳以下の株が12.2%(5/41)を占めた。これら9株のうち外来患者由来7株はpulsed field gel electrophoresis(PFGE)により4パターンに分類され,数種類のMPIPC感受性mecA陽性クローンが市中に広がっていると考えられた。mecA陽性でMPIPCによりMSSAと判定された株は,CLSIの推奨するCFX diskを用いることにより,2.8%から0.3%まで減少した。しかし,MPIPC, CFXを用いても検出できないmecA保有株が存在したことから,選択培地の使用なども考慮する必要がある。
Key word
MRSA, mecA, Staphylococcus aureus, cefoxitin
別刷請求先
*福岡県北九州市小倉北区中島1-19-17
受付日
平成19年3月19日
受理日
平成19年6月19日
日化療会誌 55 (5): 374-377, 2007