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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・基礎

Garenoxacinのin vitro抗菌活性

高畑 正裕, 福田 淑子, 二口 直子, 杉浦 陽子, 久田 晴美, 水永 真吾, 大懸 直子, 伊東 優子, 新村 裕子, 中谷 雅年, 田中 知暁, 米納 孝, 神山 朋子, 満山 順一, 藤堂 洋三

富山化学工業株式会社綜合研究所

要旨

 新規des-F(6)-quinolone系抗菌薬garenoxacin mesilate hydrate(GRNX)のin vitro抗菌活性を検討し,以下の成績を得た。
(1)GRNXは好気性,通性嫌気性および偏性嫌気性のグラム陽性菌ならびにグラム陰性菌,さらにはChlamydia spp.,Mycoplasma pneumoniaeおよびLegionella spp.に対して幅広い抗菌スペクトルを示した。
(2)好気性および通性嫌気性グラム陽性菌の各種新鮮臨床分離株に対するGRNXの抗菌活性は強く,メチシリン感受性Staphylococcus aureus(MSSA),ペニシリン耐性Streptococcus pneumoniae(PRSP)を含むStreptococcus属に対するMIC90は0.05~0.1 μg/mLでlevofloxacin(LVFX),gatifloxacin(GFLX),moxifloxacin(MFLX),ciprofloxacin(CPFX)およびtosufloxacin(TFLX)の1/2~1/32であった。
(3)好気性および通性嫌気性グラム陰性菌のうち,呼吸器および耳鼻咽喉科領域感染症の主要起炎菌であるHaemophilus influenzaeMoraxella catarrhalisおよびKlebsiella pneumoniaeに対するGRNXのMIC90は0.025~1.56 μg/mLであり,比較したフルオロキノロン系抗菌薬の1/2~4倍であった。
(4)GRNXのChlamydophila pneumoniaeに対するMICは0.002~0.008 μg/mL,M. pneumoniaeに対するMIC90は0.0313 μg/mLで,いずれも比較したキノロン系抗菌薬中,最も低かった。Legionella pneumophilaに対するGRNXのMIC90は0.0039 μg/mLでGFLXと同値,他のフルオロキノロン系抗菌薬の1/4であった。
(5)GRNXの抗菌活性は培地の種類,培地pH,ヒト血清添加および接種菌量の影響をほとんど受けなかった。
(6)GRNXの抗菌作用は殺菌的であった。また,キノロン耐性菌を含むS. aureusおよびS. pneumoniaeにおけるmutant prevention concentration(MPC)は1 μg/mL以下で,LVFXおよびGFLXより低かった。
(7)GRNXはS. aureusおよびS. pneumoniaeのDNAジャイレースあるいはトポイソメラーゼIVをLVFXおよびGFLXより強く阻害した。
(8)ヒト400 mg単回経口投与時に相当する血中濃度を再現したin vitro pharmacokinetic(PK)モデルにおいて,GRNXはキノロン耐性S. pneumoniaeに対し強い殺菌効果を示した。

Key word

garenoxacin, in vitro, antimicrobial activity

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成19年4月27日

受理日

平成19年7月18日

日化療会誌 55 (S-1): 1-20, 2007