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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・基礎

Garenoxacinのラットにおける反復経口投与毒性試験

長沢 峰子, 福井 理恵, 木澤 和夫, 鬼頭 暢子, 早川 大善, 三善 隆広, 藤堂 洋三

富山化学工業株式会社綜合研究所

要旨

 Garenoxacin mesilate hydrate(GRNX)をSD系ラットに3カ月間反復経口投与し(雄50,100,200および400 mg/kg群,雌100,200,400および800 mg/kg群),その毒性を調べるとともに,雄の200および400 mg/kg群ならびに雌の400および800 mg/kg群については1カ月間の休薬期間を設けて回復性を調べた。
 雄の100 mg/kg以上の群では肝細胞の脂肪滴沈着が,200 mg/kg以上の群では体重増加抑制,アルカリ性フォスファターゼの増加および心臓重量の減少が,400 mg/kg群ではトリグリセリドの減少および唾液腺重量の減少がみられた。一方,雌の400 mg/kg以上の群ではアルカリ性フォスファターゼの増加,唾液腺重量の減少および関節軟骨障害が,800 mg/kg群ではトリグリセリドの減少,心臓重量の減少および肝細胞の脂肪滴沈着がみられた。休薬期間終了時には雄の400 mg/kg群および雌の800 mg/kg群で,関節軟骨部の骨軟骨症がみられた。その他,軟便および盲腸腔の拡張などGRNXの抗菌作用による腸内細菌叢の変動に起因すると考えられる変化が各群にみられた。これらの結果から,本試験における無毒性量は雄で50 mg/kg,雌で200 mg/kgと判断した。トキシコキネティクスでは血漿中濃度に性差がみられ,雌のAUC0-∞は雄の約1/4~1/3であった。
 以上の変化はいずれもフルオロキノロン系抗菌薬のラット反復投与毒性試験においてみられる変化であり,GRNXに特有の変化はなかった。

Key word

garenoxacin, des-fluoro(6)-quinolone, rat, subacute toxicity

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成19年5月11日

受理日

平成19年8月22日

日化療会誌 55 (S-1): 34-41, 2007