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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・基礎

Garenoxacinの遺伝毒性試験

守田 禎一1), 望月 清一1), 能島 康幸1), 荒木 春美2), 鬼頭 暢子1), 中嶋 圓3), 三善 隆広1), 藤堂 洋三1)

1)富山化学工業株式会社綜合研究所
2)同 クオリティーアシュアランスセンター
3)財団法人 食品農医薬品安全性評価センター

要旨

 Garenoxacin mesilate hydrate(GRNX)の遺伝毒性を検討するために,細菌を用いる復帰突然変異試験,ほ乳類培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験,ほ乳類培養細胞を用いる染色体異常試験,マウスを用いる小核試験およびラット肝細胞を用いるin vivo不定期DNA合成試験を実施し,以下の結果を得た。
(1)細菌を用いる復帰突然変異試験では,代謝活性化系(S9 mix)の有無にかかわらず,いずれの試験菌株(ネズミチフス菌TA98,TA100,TA1535およびTA1537株ならびに大腸菌WP2uvrA株)でも復帰変異コロニー数の増加はみられなかった。
(2)ほ乳類培養細胞(V79細胞)を用いる遺伝子突然変異試験では,S9 mixの有無にかかわらず,6-チオグアニン抵抗性突然変異体コロニーの出現頻度は増加しなかった。
(3)ほ乳類培養細胞(CHL/IU細胞)を用いる染色体異常試験では,S9 mixの非存在下および存在下で染色体異常を有する細胞の出現率が増加した。
(4)マウスを用いる小核試験では,骨髄細胞における小核出現頻度は増加しなかった。
(5)ラット肝細胞を用いるin vivo不定期DNA合成試験では,ネット核グレイン数および修復細胞数は増加しなかった。
 以上のように,GRNXは,ほ乳類培養細胞に対してトポイソメラーゼ阻害に関連すると考えられる染色体異常誘発作用を示したが,in vivoで染色体異常誘発性を調べるマウス小核試験では陰性であった。また,その他のin vitroおよびin vivoの試験でも陰性の結果が得られたことから,GRNXが生体内で遺伝毒性を示す懸念は低いと考えられた。

Key word

garenoxacin, des-fluoro(6)-quinolone, genotoxicity

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成19年5月11日

受理日

平成19年7月6日

日化療会誌 55 (S-1): 54-61, 2007