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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・基礎

Garenoxacinの生殖発生毒性試験

小崎 司1), 古坊 英子1), 三善 隆広1), 古川 正敏2), 藤堂 洋三1)

1)富山化学工業株式会社綜合研究所
2)株式会社化合物安全性研究所

要旨

 Garenoxacin mesilate hydrate(GRNX)の生殖発生毒性試験をSprague-Dawley系ラットおよびNew Zealand White種ウサギを用いて行った。
 ラットを用いた経口投与による受胎能および着床までの初期胚発生に関する試験では,100および400 mg/kg群の雄に体重増加の抑制ならびに摂餌量の低値が,1,000 mg/kg群の雌に体重増加の抑制がみられた。生殖能検査,精子検査,性周期および妊娠15日の子宮内観察結果にGRNXの影響はみられなかった。
 ラットを用いた経口投与による出生前および出生後の発生ならびに母動物の機能に関する試験では,250および1,000 mg/kg群の母動物において,妊娠期間中に体重増加の抑制および摂餌量の低値がみられた。母動物の妊娠の維持,分娩および哺育からみた生殖能力にGRNXの影響はみられなかった。出生児については,生存率,体重推移,一般状態,発育分化,反射反応性試験,オープンフィールド試験,学習試験,生殖能検査および妊娠20日の子宮内観察結果にGRNXの影響はみられなかった。
 ラットを用いた経口投与による胚・胎児発生に関する試験では,1,000 mg/kg群の母動物に体重増加の抑制および摂餌量の低値がみられた。母動物の妊娠の維持および妊娠末期帝王切開所見からみた生殖能力にGRNXの影響はみられなかった。胎児については,生存胎児数,死亡胚・胎児数,生存胎児体重,性比,外表観察,内臓観察および骨格観察結果のいずれにもGRNXの影響はみられず,GRNXに催奇形性はなかった。
 ウサギを用いた静脈内投与による胚・胎児発生に関する試験では,流産がGRNXの各投与群に1~3例みられ,12.5 mg/kg群の1例は流産後に死亡した。また,6.25,12.5および25 mg/kg群の母動物に体重増加の抑制および摂餌量の低値がみられた。胎児については,25 mg/kg群で生存胎児体重の低値および内臓観察において胸腺頸部残留を有する胎児数の増加がみられたが,胸腺頸部残留は母動物の低体重に起因する胎児の発育遅延を示唆する所見と考えられ,GRNXに催奇形性はなかった。

Key word

garenoxacin, des-fluoro(6)-quinolone, reproductive and developmental toxicity study, rats and rabbits

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成19年5月15日

受理日

平成19年8月22日

日化療会誌 55 (S-1): 62-74, 2007