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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・基礎

Garenoxacinのin vitro代謝およびヒトチトクロムP450に対する作用

中村 哲朗, 飛世 千栄, 加藤 寛, 片井 真樹, 早川 大善, 藤堂 洋三

富山化学工業株式会社綜合研究所

要旨

 Garenoxacin mesilate hydrate(GRNX)の臨床における薬物動態学的薬物間相互作用の発現の可能性を評価するため,GRNXのヒト肝ミクロソームによる代謝,ヒト初代培養肝細胞を用いたチトクロムP450(CYP)1A2およびCYP3A4活性に対する誘導作用,およびヒト肝ミクロソームを用いた各CYPの標準基質代謝活性に対する阻害作用を検討した。GRNXは,ヒト肝ミクロソームにおいてNADPHの有無にかかわらずほとんど代謝されず,GRNXの代謝に対してCYPの関与は少なかった。また,GRNXは血漿中非結合型濃度(約6 μmol/L,400 mg反復経口投与時のヒトCmaxより算出)の約17倍(100 μmol/L)までCYP1A2およびCYP3A4に対して酵素誘導作用を示さなかった。さらに,CYP1A2,CYP2A6,CYP2C9,CYP2C19,CYP2D6,CYP2E1およびCYP3A4に対する阻害作用は弱く,いずれの分子種に対しても50%阻害濃度は1,000 μmol/L以上であった。以上,GRNXを臨床で他薬剤と併用した場合に,CYPを介した薬物間相互作用が発現する可能性は低いと考えられた。

Key word

garenoxacin, cytochrome P450, drug-drug interaction

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成19年4月27日

受理日

平成19年8月9日

日化療会誌 55 (S-1): 87-94, 2007