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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・臨床

Garenoxacinの臨床第I相:臨床薬理試験

内田 英二

昭和大学医学部第二薬理学教室

要旨

 新規の経口デスフルオロキノロン系抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrate(GRNX)の日本人健康成人男子に対する薬物動態および安全性について検討した。また,本薬の薬物動態に及ぼす食事の影響についても検討した。さらに,日本人と外国人の薬物動態を比較検討し,内因性の民族的要因についても検討した。
 1.薬物動態:単回投与試験においてCmaxおよびAUCは投与量にほぼ比例して増加し,投与量との間に比例関係がみられた。反復投与試験においては投与7日目までに定常状態に達し,蓄積性はみられなかった。400 mg投与時の定常状態でのCmaxおよびAUCはそれぞれ11.06 μg/mLおよび110.9 μg・h/mLであった。
 2.安全性:600 mgまでの単回投与および400 mg 1日1回14日間反復投与までの安全性および忍容性が確認された。また,有害事象発現頻度と投与量および血漿中濃度との間に関連性はみられなかった。
 3.食事の影響:食後および空腹時のCmaxとAUCの比(食後/空腹時投与)は0.876および0.925であり,90%信頼区間はあらかじめ定めた範囲内(Cmaxが0.70~1.43,AUCが0.80~1.25)に含まれていたことから,食事の影響はないと考えられた。
 4.日本人と外国人の薬物動態の比較:日本人と外国人における血漿中および尿中薬物動態,代謝物,唾液中への移行性および蛋白結合率を比較検討した。血漿中薬物動態パラメータは体重補正することで類似していた。代謝物の種類と量,唾液中への移行性および蛋白結合率は両者で同様であり,GRNXは内因性の民族的要因を受けにくい薬剤であると考えられた。

Key word

garenoxacin, T-3811MEa, des-fluoro(6)-quinolone, pharmacokinetic

別刷請求先

東京都品川区旗の台1-5-8

受付日

平成19年5月18日

受理日

平成19年7月19日

日化療会誌 55 (S-1): 95-115, 2007