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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・臨床

Garenoxacinとtheophyllineとの併用試験

二木 芳人, 吉田 耕一郎

昭和大学医学部臨床感染症学

要旨

 新しい経口キノロン系合成抗菌薬garenoxacin mesilate hydrate(GRNX)のtheophylline薬物動態に及ぼす影響を,9名の健康成人男子被験者を対象に検討した。
 Theophylline 400 mg(分2)を投与4日目まで単独投与し,投与5日目から11日目までGRNX 400 mg(朝1回内服)を併用投与し,投与4日目,8日目(併用4日目)および11日目(併用7日目)の血漿中theophyllineおよびGRNX濃度推移,薬物動態パラメータ(CmaxおよびAUC)の幾何平均の比とその90%信頼区間を求め,併用による影響を検討した。
 投与8日目および11日目の血漿中theophylline濃度は投与4日目に比べてともに約20%高く推移した。投与4日目に対する11日目の比の幾何平均はCmaxで1.18,AUC0-10では1.19,その90%信頼区間は,Cmaxで1.02~1.37,AUC0-10では1.03~1.37であった。また,投与4日目に対する8日目の比の幾何平均はCmaxで1.18,AUC0-10では1.19,その90%信頼区間は,Cmaxで1.02~1.36,AUC0-10では1.02~1.39と11日目の比と同様であった。なお,投与8日目および11日目のGRNX血漿中濃度はほぼ同様に推移し,薬物動態パラメータも差がなかった。
 本試験中,5名の被験者に7件の有害事象が,いずれも併用投与時に発現した。副作用は,下痢(2名に2件)と腹痛(1名に1件)がみられたが,いずれも軽度で無処置にて消失した。
 以上,GRNXはtheophyllineとの併用でその血漿中濃度を約20%上昇させることがわかった。両薬剤を併用する際,GRNXの投与量の調整は不要と考えられるがtheophyllineを点滴等により高用量併用する場合には注意を要すると思われる。

Key word

garenoxacin, theophylline, drug-drug interaction

別刷請求先

東京都品川区旗の台1-5-8

受付日

平成19年6月5日

受理日

平成19年7月18日

日化療会誌 55 (S-1): 206-213, 2007