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書誌情報

Vol.55 No.S-1 October 2007

原著・臨床

Garenoxacin投与とQT時間―臨床試験における心電図解析―

村川 裕二

帝京大学医学部附属溝口病院第四内科

要旨

 新規のキノロン系合成抗菌薬であるgarenoxacin mesilate hydrateのQT間隔に及ぼす影響について検討した。健康成人を対象とした臨床薬理試験の被験者66名および感染症患者を対象とした臨床第III相試験の400 mg/1回/日投与の患者504名の心電図データを解析した。単回投与試験でのTmax付近(投与2時間後)のQTcおよび財QTcは,600 mg投与群で365.8±26.9 msecおよび1.8±25.4 msecであり,QTc延長傾向はなかった。臨床第III相試験における財QTcは,投与3日後-10.5±27.0 msec, 投与9日後-9.0±27.8 msecであり延長傾向を示さなかった。カテゴリ別解析では,QTcが450 msec(男性)または470 msec(女性)を超え,かつ財QTcが60 msecを超えた症例が,臨床第III相試験で504名中3名にあったが,いずれも臨床背景に関連するものであった。
 血漿中薬物濃度と財QTcとの関連の検討では,Cmaxと財QTcとの間に相関性はみられなかった。また,本薬による有意な心電図波形の変化はみられず,QTc延長に関連した有害事象の発現もみられなかった。さらに,年齢および体重等の臨床像とQTcおよび財QTcへの関与は認められなかった。
 以上より,本薬の日本人のQTc間隔に及ぼす影響は小さいと考えられた。

Key word

garenoxacin, des-fluoro(6)-quinolone, electrocardiogram, QT

別刷請求先

神奈川県川崎市高津区溝口3-8-3

受付日

平成19年5月18日

受理日

平成19年7月26日

日化療会誌 55 (S-1): 214-221, 2007