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書誌情報

Vol.55 No.6 November 2007

原著・臨床

慢性呼吸器疾患の二次感染に対するgatifloxacinとlevofloxacin5日間投与の比較試験

中村 守男1), 長谷川 直樹2), 宮尾 直樹3), 中島 隆裕4), 寺嶋 毅5), 坂巻 文雄6), 平岡 理佳7), 松原 弘明8), 小山田 吉孝9), 米丸 亮10), 西尾 和三11), 島田 尚登11), 川田 一郎12), 猶木 克彦13), 田坂 定智2), 西村 知泰2), 石坂 彰敏2)

1)財団法人 ライフ・エクステンション研究所附属永寿総合病院呼吸器科
2)慶應義塾大学医学部呼吸器内科
3)医療法人社団 こうかん会日本鋼管病院内科
4)川崎市立川崎病院呼吸器内科
5)東京歯科大学市川総合病院内科
6)東京都済生会中央病院呼吸器内科
7)埼玉社会保険病院呼吸器内科
8)公立福生病院内科
9)独立行政法人 国立病院機構東京医療センター呼吸器科
10)伊勢原協同病院内科
11)川崎市立井田病院呼吸器科
12)日野市立病院内科
13)横浜市立市民病院呼吸器科

要旨

 [目的]慢性呼吸器疾患の二次感染に対してgatifloxacin(GFLX)またはlevofloxacin(LVFX)を5日間投与することの有用性を比較検討した。本研究では治療期間の短縮に加えて,医療経済性についても検討を行った。
 [対象および方法]2006年9月から2007年4月の間に,慶應義塾大学病院呼吸器内科および関連病院を受診した慢性呼吸器疾患の二次感染患者74例を対象とした。薬剤割付はGFLX群(65歳以上:1回100 mg,1日2回投与,65歳未満:1回200 mg,1日2回投与),LVFX群(1回200 mg,1日2回投与)の2群に無作為割付を行い,投与日数は5日間とした。
 [結果]対象74例において有効性を61例(GFLX群:32例,LVFX群:29例),副作用を74例(GFLX群:37例,LVFX群:37例),臨床検査値異常を63例(GFLX群:30例,LVFX群:33例)で評価した。臨床効果の有効率はGFLX群で90.6%(29/32),LVFX群で89.7%(26/29)であり,ほぼ同等の結果が得られた。副作用はGFLX群で2例,臨床検査値異常はGFLX群で1例,LVFX群で1例認められたが,いずれも軽度であった。
 [結論]慢性呼吸器疾患の二次感染に対する標準的な治療は抗菌薬7日~14日間投与である。しかし,本研究の結果から両群とも5日間投与において高い有効性が得られ,安全性も高かったことから治療期間短縮の有用性が示唆された。医療経済性の側面からは,GFLXはLVFXに比べて薬価が安価なため薬剤費を低額に抑えることができるといえる。以上より,慢性呼吸器疾患の二次感染に対してGFLXを5日間投与することは有用であると考えられた。

Key word

gatifloxacin, levofloxacin, secondary infection, chronic respiratory disease, 5-day therapy

別刷請求先

東京都台東区東上野2-23-16

受付日

平成19年8月17日

受理日

平成19年10月3日

日化療会誌 55 (6): 451-462, 2007