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書誌情報

Vol.55 No.6 November 2007

原著・臨床

小児細菌感染症に対するceftriaxone 1日1回投与に関するアンケート調査

岩田 敏1, 2), 公文 裕巳2), 二木 芳人2), 青木 信樹2), 賀来 満夫2), 和田 光一2), 河野 茂2), 砂川 慶介2), 三鴨 廣繁2), 竹末 芳生2), 後藤 直正2), 門田 晃一2)

1)独立行政法人 国立病院機構東京医療センター小児科
2)社団法人 日本化学療法学会臨床試験委員会

要旨

 細菌感染症の治療にあたっては優れた抗菌力,抗菌スペクトラムを有する抗菌薬の使用が求められるが,抗菌薬の投与計画は薬物動態も加味して立てられる必要がある。特に,β-ラクタム系抗菌薬においては,PK/PDの観点から“Time above MIC”を基に投与間隔を決定することが肝要である。
 Ceftriaxone(CTRX)は,強い抗菌力と広範囲な抗菌スペクトラムを有するセフェム系注射用抗菌薬で,血中半減期が非常に長いという薬物動態上の特徴から,1日1回の投与で十分な作用を示すと考えられ,社団法人 日本化学療法学会会員からも本用法による治療が強く望まれている抗菌薬である。
 今回,各種小児細菌感染症に対するCTRX 1日1回投与の現状に関する調査を実施した結果,回答医師の51%(28/55名)がすでにCTRXを1日1回投与で使用していた。CTRXの1日1回投与での投与量および投与日数は,入院で50~59 mg/kg・5日間,外来で50~59 mg/kg・3日間であった。
 CTRXの1日1回用法が追加された場合は,外来治療の可能性,入院設備のない施設での治療の可能性,患者・家族のQOLの維持,医療費の軽減がメリットとして多く挙げられた一方,デメリットとしては,患者の緊急時の対応の困難性や薬物アレルギーへの対応リスクが多く挙げられていた。CTRX 1日1回投与を使用したいとする意向は,入院では51%,外来では80%であった。しかし,利便性からの乱用を危惧する意見も出され,また「抗菌薬投与に実地医家が熟達していない」との意見もあるため,適正使用のための情報提供が必要と考えられた。

Key word

ceftriaxone, child, bacterial infection, once daily intravenous administration

別刷請求先

東京都目黒区東が丘2-5-1

受付日

平成19年8月17日

受理日

平成19年9月14日

日化療会誌 55 (6): 463-472, 2007