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書誌情報

Vol.56 No.1 January 2008

原著・臨床

アミノ酸含有輸液製剤のdoripenemの側管からの投与に及ぼす影響

吉岡 睦展1), 竹中 雅彦2), 新 康憲1), 折田 環3), 春藤 和代4), 渡 雅克1)

1)宝塚市立病院薬剤部
2)同 呼吸器科
3)同 検査室
4)同 看護部

要旨

 カルバペネム系抗菌薬は,L-システイン又はL-シスチンを含むアミノ酸製剤との配合で著しく力価が低下することが報告されている。一方,アミノ酸含有輸液製剤の側管から抗生剤を投与する方法は,臨床上広く用いられているにもかかわらず,その影響について評価した報告はない。そこで,カルバペネム系抗菌薬であるdoripenem(DRPM)の効果を減弱する因子として,アミノ酸含有輸液製剤への側管投与に着目し,臨床効果に及ぼす影響を検討した。対象として2006年5月から10月までの6カ月間におけるDRPM全投与例(97例)をレトロスペクティブに調査し,点滴ルートにおける投与方法の違いによって,アミノ酸含有輸液製剤の側管から投与した接触群(以下,アミノ酸群)およびアミノ酸含有輸液製剤とは別ルートで投与した非接触群(以下,非アミノ酸群)とに分類した。アミノ酸群および非アミノ酸群は47および50症例であった。有効性(解熱)に影響を及ぼすリスク因子を検討した結果,アミノ酸含有輸液製剤への側管投与の有無に対するオッズ比は0.249(95%信頼区間:0.088~0.708)であり,アミノ酸群は明らかなリスク因子であることが判明した。
 さらに,DRPM投与前後における体温およびWBC数の低下率は,アミノ酸群では非アミノ酸群に比べいずれも有意に低く(p<0.05),DRPMはアミノ酸含有輸液製剤への側管投与によって効果が減弱することが示唆された。したがって,カルバペネム系抗菌薬をアミノ酸含有輸液製剤の側管から投与する場合は,アミノ酸含有輸液製剤の一時的中断又は別ルートからの投与を推奨する。

Key word

doripenem, carbapenem, amino acid infusion, Y-site injection

別刷請求先

兵庫県宝塚市小浜5-4-1

受付日

平成19年8月10日

受理日

平成19年9月28日

日化療会誌 56 (1): 1-6, 2008