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書誌情報

Vol.56 No.1 January 2008

原著・臨床

急性鼻副鼻腔炎に対するgatifloxacinの有用性―スコアリングシステムを用いた評価―

保富 宗城1), 藤原 啓次1), 宇野 芳史2), 寒川 高男3), 木下 和也4), 小林 政美5), 林 正樹6), 林 泰弘7), 神人 崇8), 木村 貴昭9), 與田 順一10), 山中 昇1)

1)和歌山県立医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科
2)宇野耳鼻咽喉科クリニック
3)社会保険紀南総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
4)国保日高総合病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
5)済生会有田病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
6)済生会和歌山病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
7)しらさぎ台耳鼻咽喉科
8)神人クリニックなぐさ耳鼻咽喉科
9)オレンジクリニック木村耳鼻咽喉科
10)耳鼻咽喉科クリニックJOY

要旨

 急性鼻副鼻腔炎に対するgatifloxacin(GFLX)の有用性を,臨床症状(鼻漏・後鼻漏,発熱,顔面痛・前頭部痛)および鼻腔所見(粘膿性鼻漏・後鼻漏,漿液性鼻漏・後鼻漏,鼻粘膜腫脹,鼻粘膜発赤)に基づくスコアリング・システムを用い,重症度分類別に検討した。スコアリング・システムを用いた重症度分類は,経験的判断による重症度を反映するものであり,急性鼻副鼻腔炎の臨床経過を客観的に評価しうるものであった。急性鼻副鼻腔炎に対するGFLXの臨床効果の検討では,臨床症状は軽症,中等症,重症のいずれにおいても治療前後でスコアが有意に低下した。一方,鼻腔所見は,軽症例では治療前後でスコアは変化しなかったが,中等症例および重症例では治療前後でスコアが有意に低下した。細菌学的検討では,54.0%の症例で中鼻道分泌物よりStreptococcus pneumoniaeHaemophilus influenzaeMoraxella catarrhalisのいずれかが検出されたが,GFLXによる治療により,これらすべての菌は消失した。臨床効果および細菌学的効果から,GFLXによる急性鼻副鼻腔炎治療の有効率は98.0%(49例中48例)で認められた。
 以上のことから,GFLXは急性鼻副鼻腔炎に対して有効な抗菌薬であると考えられた。

Key word

gatifloxacin, acute rhinosinusitis, clinical effect, clinical score

別刷請求先

和歌山県和歌山市紀三井寺811-1

受付日

平成18年12月26日

受理日

平成19年9月14日

日化療会誌 56 (1): 7-15, 2008