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書誌情報

Vol.56 No.1 January 2008

抗菌薬感受性報告

呼吸器感染症の原因となる臨床分離菌に対するgemifloxacinの抗菌力

網中 眞由美1), 桑原 京子1, 2), 北村 昭夫2), 東出 正人3), 三澤 成毅4), 近藤 成美5), 小林 寅てつ6), 菊池 賢1), 平松 啓一1, 2)

1)順天堂大学大学院感染制御科学
2)順天堂大学医学部細菌学
3)江東微生物研究所
4)順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部
5)順天堂大学医学部臨床検査医学
6)三菱ビーシーエル化学療法研究室

要旨

 2005年に市中医療機関の臨床材料から分離された呼吸器感染症の原因となる各菌種および,2003年以降に臨床材料から分離されたlevofloxacin耐性Streptococcus pneumoniaeに対して,フルオロキノロン薬であるgemifloxacin,およびその他のフルオロキノロン系抗菌薬の薬剤感受性を測定した。
 S. pneumoniaeに対するgemifloxacinのMIC値は0.031 μg/mL/で他のフルオロキノロン系抗菌薬より強い抗菌力を示した。levofloxacin耐性S. pneumoniaeに対してもgemifloxacinはMIC90値は0.5 μg/mLで,moxifloxacin(MFLX),gatifloxacin(GFLX),tosufloxacin(TFLX),sparfloxacin(SPFX),levofloxacin(LVFX),ciprofloxacin(CPFX)の16~128倍以上の強い抗菌力を示すことがわかった。Haemophilus influenzaeに対するgemifloxacinのMIC90値は0.015 μg/mLで強い抗菌力を示し,そのうちampicillin耐性β-lactamase非産生Haemophilus influenzae(BLNAR)に対しては,gemifloxacinのMIC90値は0.063 μg/mLであった。Methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)に対するgemifloxacinの抗菌力は他のフルオロキノロン系抗菌薬とともに低かったが,MoraxellaBranhamellacatarrhalisKlebsiella pneumoniaePseudomonas aeruginosaでは,他のフルオロキノロン系抗菌薬と同等の強い抗菌力を示し, gemifloxacinは今後臨床において有効な呼吸器感染症治療薬の一つになることが示唆された。

Key word

gemifloxacin, respiratory quinolone, Streptococcus pneumoniae, BLNAR (beta-lactamase nonproducing ampicillin resistant)

別刷請求先

東京都文京区本郷2-1-1

受付日

平成19年7月20日

受理日

平成19年11月16日

日化療会誌 56 (1): 16-20, 2008