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書誌情報

Vol.56 No.1 January 2008

市販後調査

中等症の市中肺炎患者に対するlevofloxacin 600 mg/日投与の有用性

桑原 正雄1), 土井 正男1), 池松 秀之2), 沖本 二郎3)

1)県立広島病院呼吸器内科
2)医療法人 原土井病院臨床研究部
3)川崎学園振興財団 川崎病院呼吸器内科

要旨

 今回,われわれは,使用実態下において,中等症の市中肺炎を対象として,levofloxacin(LVFX)の国内承認最大用量である600 mg分3/日投与例および初期治療における短期間(3日以内)の注射薬使用例を集積することにより,本治療法の臨床効果と安全性を検討した。
 その結果,臨床効果解析対象症例における有効率は90.3%(84/93例)であった。各治療法の内訳は,LVFX単独治療群59.1%(55例),併用治療群30.1%(28例),スイッチ治療群10.8%(10例)であり,それらの有効率はおのおの90.9%,89.3%,90.0%であった。
 原因菌は51.6%(33/64例)検出され,主な原因菌は,Streptococcus pneumoniae 20.3%,Haemophilus influenzae 17.2%,Moraxella catarrhalis 4.7%であった。治療法別の細菌学的効果はLVFX単独治療群100%(13/13例),併用治療群91.7%(11/12例),スイッチ治療群100%(1/1例)であった。非定型病原体は,Legionella pneumophilaは検出されず,Mycoplasma pneumoniaeChlamydia pneumoniaeは抗体価検査でおのおの6.8%(3/44例),16.7%(6/36例)検出された。また,M. pneumoniaeC. pneumoniae検出例9例における臨床効果は全例有効であった。
 副作用は120例中12例(10.0%)に発現したが,うち9例が軽微であり,全例LVFXの投与継続が可能であった。3例に中等度の副作用が発現したが,LVFX投与終了後速やかに回復していた。本調査の対象症例の半数以上が高齢者であったが,LVFX 600 mg分3/日投与に関して特に注意すべき安全性上の問題点は認められなかった。
 以上より,LVFX 600 mg分3/日単独投与,および初期治療における短期間(3日以内)の注射薬の使用により,中等症の市中肺炎に対して高い有用性が期待できることが示され,早期からの外来治療を可能にし,医療経済的にも効果的な治療法になりうると考えられた。

Key word

levofloxacin, community-acquired pneumonia, efficacy, safety

別刷請求先

広島県広島市南区宇品神田1-5-54

受付日

平成19年7月2日

受理日

平成19年10月11日

日化療会誌 56 (1): 21-32, 2008