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書誌情報

Vol.56 No.2 March 2008

原著・臨床

小児深在性真菌症患者におけるmicafunginの有効性,安全性および薬物動態

砂川 慶介1), 月本 一郎2), 豊永 義清3), 恒松 由記子4), 岩井 直一5), 谷川原 祐介6)

1)北里大学生命科学研究所感染症学講座
2)東邦大学医療センター大森病院小児科
(現 済生会横浜市東部病院小児医療センター)
3)石心会狭山病院小児科
4)国立成育医療センター特殊診療部小児腫瘍科
(現 国立成育医療センター小児腫瘍科客員研究員)
5)名鉄病院小児科
6)慶應義塾大学病院薬剤部

要旨

 小児の深在性真菌症に対するmicafungin(MCFG)の有効性,安全性および薬物動態を検討し,小児の用法用量を推定するために多施設共同非盲検非対照試験を実施した。本試験において集積された20例において以下の結果を得た。
 1)総合臨床効果における有効率は疾患全体で10/14例(71.4%),カンジダ症で7/11例(63.6%),アスペルギルス症では3例全例が有効であった。
 2)副作用発現率(随伴症状)は1/20例(5%)であり,アナフィラキシー様反応の1例だけであった。副作用発現率(臨床検査値異常)は5/20例(25.0%)であり,主なものとしてAST上昇,ALT上昇,ALP上昇,γ-GTP上昇等の肝機能障害を認めたが,いずれも重篤なものはなく,本薬剤の投与中止や減量を要しなかった。また用量依存性は認められなかった。
 3)本薬剤1~6 mg/kg/日の薬物動態の検討を行った結果,Cmax, Cminともに線形性を示した。半減期は約13時間であり,投与量,年齢に関係なくほぼ一定であった。
 以上の結果から,本薬剤は,学童,幼児,乳児を含む小児の患者において,成人における承認用量(50~300 mg/日)を体重当たりに換算した用量(1~6 mg/kg/日)で,成人とほぼ同様の有効性,安全性,体内動態が得られると考えられ,小児深在性真菌症患者に対しても有用な薬剤になることが期待された。

Key word

micafungin, clinical trial, pediatric patient, fungal infection

別刷請求先

東京都港区白金5-9-1

受付日

平成19年11月2日

受理日

平成19年11月27日

日化療会誌 56 (2): 190-201, 2008