Vol.56 No.2 March 2008
短報
カルバペネム系抗菌薬の緑膿菌に対するエンドトキシン遊離作用
愛知医科大学医学部微生物・免疫学講座*
要旨
カルバペネム系抗菌薬イミペネムは,その殺菌作用の発現に伴うエンドトキシン遊離が少ないことが知られている。今回,カルバペネム系抗菌薬イミペネム(imipenem:IPM),ドリペネム(doripenem:DRPM),メロペネム(meropenem:MEPM)の緑膿菌に対するエンドトキシン遊離作用について比較検討した。緑膿菌PAO-1に,IPM,DRPM,MEPMを作用させ,遊離エンドトキシンを測定した。1/2 MIC 8時間処理では,DRPM, MEPMは著しいエンドトキシン遊離を導き,その遊離量は非添加群より多かった。IPMのエンドトキシン遊離量はわずかであった。2 MICでは,IPM,DRPM,MEPM群ともに著明なエンドトキシン遊離は認められなかった。1/2 MIC IPMで処理された緑膿菌は球形を呈したが,DRPM,MEPMではフィラメント状を示した。IPM,MEPM,DRPMのエンドトキシン遊離量の差異は,菌の形態変化と密接に関連していることが示唆された。
Key word
carbapenem antibiotic, Pseudomonas aeruginosa, endotoxin, filament formation
別刷請求先
*愛知県愛知郡長久手町大字岩作字雁又21
受付日
平成19年11月1日
受理日
平成19年11月19日
日化療会誌 56 (2): 206-208, 2008