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書誌情報

Vol.56 No.S-1 April 2008

原著・臨床

歯科・口腔外科領域感染症に対するsitafloxacinの有効性,安全性および口腔組織移行性

佐々木 次郎1), 堀 誠治2)

1)東海大学医学部
2)東京慈恵会医科大学薬理学講座

要旨

 ニューキノロン系経口抗菌薬sitafloxacin(STFX)の有効性・安全性を歯科・口腔外科領域感染症患者を対象とした第III相臨床試験にて検討した。また,STFXの口腔組織内への移行性についてもあわせて検討した。
 1.口腔外科手術施行患者10例におけるSTFX 50 mg単回投与後2.6~3.7時間の血清中濃度は0.44±0.12 μg/mL,投与後2.7~3.7時間の口腔組織中濃度は,歯肉組織0.57±0.17 μg/g,抜歯創貯留液0.32±0.17 μg/gであり,各組織中濃度の対血清中濃度比はそれぞれ1.3±0.4, 0.8±0.5であった。
 2.歯科・口腔外科領域感染症患者50例に対して,STFX 50 mgまたは100 mgを1日2回3~7日間投与した際の投与終了・中止時の有効率(担当医判定)は97.6%(41/42)であり,投与開始後3日の有効率(評点比判定)は85.0%(34/40)であった。
 3.投与終了・中止時の陰性化率は100%(37/37)であり,投与開始後3日の陰性化率は94.3%(33/35)であった。
 4.STFXとの因果関係を否定できない有害事象(副作用)は,口腔組織移行性試験では認められず,臨床試験では49例中22例(44.9%)に33件認められたが,重篤なものは認められなかった。
 以上の結果から,STFX 50 mg経口投与後の口腔組織内への移行は良好であり,歯科・口腔外科領域感染症患者に対してSTFX 50 mg 1日2回投与で十分な効果が得られ,安全性にも問題はないと考えられた。

Key word

sitafloxacin, fluoroquinolone, odontogenic infection, clinical trial, tissue penetration

別刷請求先

神奈川県伊勢原市下糟屋143

受付日

平成19年10月5日

受理日

平成19年12月18日

日化療会誌 56 (S-1): 121-129, 2008