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書誌情報

Vol.56 No.3 May 2008

抗菌薬感受性報告

当院において分離された緑膿菌の薬剤感受性

田村 昌行

公立藤岡総合病院薬剤部

要旨

 公立藤岡総合病院において分離,同定された緑膿菌の3,002株を用いて,各抗菌薬の感性の動向や使用頻度の多いカルバペネム系抗菌薬のimipenem(IPM),meropenem(MEPM)の交差耐性の有無について比較検討した。緑膿菌に対するpiperacillin(PIPC),amikacin(AMK),levofloxacin(LVFX)の感性率の経年的変動は少なく,高い感性率を示した。また,カルバペネム系抗菌薬の使用量は4抗菌薬全体では減る傾向にあった。IPMでは2003年は6,009バイアル,2006年は2,997バイアルであった。しかし,その感性率の経年変動はみられるものの抗菌薬使用量と感性率には一定の傾向はみられなかった。
 緑膿菌に対するIPMのMICのピークは1.0 μg/mLと16.0 μg/mLをピークとする二峰性の分布を示し,MEPMはIPMのような谷がみられず,2抗菌薬のMIC分布パターンは明らかに異なっていた。また,IPM耐性菌株とMEPM耐性菌株では各抗菌薬の感性率が異なり,MEPM耐性菌株の方が各抗菌薬に耐性を示した。 IPMに耐性を示し,MEPMに感性を示す20株の各抗菌薬に対する感性率は,PIPC, ceftazidime(CAZ),aztreonam(AZT),AMKでは100%を示した。
 このような結果からIPMとMEPMは緑膿菌外膜の透過経路の違いや抗菌薬排泄システムの違いが示唆されることから,交差耐性を考慮した抗菌薬適正使用が望まれる。

Key word

Pseudomonas aeruginosa, imipenem, meropenem, drug resistance

別刷請求先

群馬県藤岡市藤岡942-1

受付日

平成19年11月27日

受理日

平成20年2月26日

日化療会誌 56 (3): 313-316, 2008