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書誌情報

Vol.56 No.4 July 2008

原著・臨床

肺炎患者におけるpazufloxacin mesilateの血中濃度解析と臨床効果の検討

田口 善夫1), 馬庭 厚2), 小松 方3), 阿部 教行4)

1)天理よろづ相談所病院呼吸器内科
2)同 呼吸器内科(現 和歌山日赤医療センター呼吸器科)
3)同 臨床病理部(現 ファルコバイオシステムズ総合研究所検査三課)
4)同 臨床病理部

要旨

 当院で2005年5月~2005年10月に入院した市中肺炎患者に対し,メシル酸パズフロキサシン(pazufloxacin mesilate,以下PZFX)による治療を行った7症例,8エピソード(男性6エピソード,女性2エピソード,平均年齢71歳,平均推定クレアチニンクリアランス64.7±35.4 mL/min)を対象に,PZFXの血中濃度解析と臨床効果について検討した。PZFXは単剤投与で500 mgを12時間ごとに30分かけて点滴静注を行った。血中濃度測定用の採血は投与3日目に,(1)投与直前,(2)投与終了直前,(3)投与開始1~1.5時間後,(4)投与開始3~3.5時間後,(5)投与開始5~5.5時間後の5ポイントで行った。また,臨床効果は,PZFX投与3日目の発熱,症状,白血球数から評価した。
 結果,8エピソードのT1/2β,CmaxおよびAUCの平均値は,それぞれ2.87±1.02 hr,30.39±12.18 μg/mLおよび67.89±27.87 hr・μg/mLであった。臨床効果は8エピソード中7エピソードが有効(87.5%),完全解熱までの期間は4例が3日以内,3例が5日以内であった。
 本検討で算出されたCmaxおよびAUCは,臨床第I相試験や高齢者を対象とした報告例と比較していずれも,およそ1.7~3.1倍程度高い値を示したが,これらは症例の腎機能,基礎疾患等種々の病態が原因と考えられた。すなわち,PZFXを含む抗菌薬の体内動態は,患者個々で変化するため,抗菌薬のpharmacokinetics/pharmacodynamicsを考慮した適正使用のためには,症例ごとの体内動態の算出が重要であると考えられた。

Key word

pazufloxacin mesilate, pharmacokinetics, Cmax, AUC, community-acquired pneumonia

別刷請求先

奈良県天理市三島町200

受付日

平成20年1月25日

受理日

平成20年4月4日

日化療会誌 56 (4): 467-471, 2008