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書誌情報

Vol.56 No.6 November 2008

短報

造血器腫瘍に対する化学療法後の好中球減少時の重症感染症に対するcefozopran 3回/日投与法の費用対効果

野村 憲一1, 2), 藤本 佳子1), 山下 美穂子1), 大城 宗生1), 谷脇 雅史1, 3)

1)京都府立医科大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学
2)京都府保健環境研究所細菌・ウイルス課
3)京都府立医科大学大学院医学研究科臨床分子病態検査医学

要旨

 発熱性好中球減少症に対する第1選択薬として,第IV世代セフェムが推奨されている。すでに多数の研究により,セフェムは,従来の2回/日投与法よりも3回/日投与法のほうが臨床的に優れていることが明かにされている。しかし,3回/日投与法のほうが経済的にも優れているかは不明である。われわれは,2006年4月より12月まで,化学療法後の好中球減少期に生じた重症感染症(発熱性好中球減少症)に対して,cefozopranの3回/日投与を行った。この投与法を行った患者(30事例)について,期待有効1(有効であった発熱事例1例)に対する期待費用を算出した。1発熱事例あたりの平均投与日数は7.5日であった。有効率は83%であったので,期待有効1に対する期待費用は6万3,036円と計算された。われわれはすでに2回/日投与法の成績も発表しているが,この成績に基づいた2回/日投与法のそれは,7万8,327円であった。早期に解熱が得られることによる入院期間の短縮,偽膜性腸炎の発症率の低下なども考慮すれば,差はさらに拡大すると考えられる。3回/日投与法は,経済的にもきわめて有利な投与法と言える。

Key word

cefozopran, febrile neutropenia, cost-effectiveness, optimal dosage

別刷請求先

京都府京都市上京区河原町通り広小路上る梶井町465

受付日

平成20年5月15日

受理日

平成20年7月4日

日化療会誌 56 (6): 631-633, 2008