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書誌情報

Vol.57 No.1 January 2009

原著・臨床

急性気管支炎および慢性呼吸器病変の二次感染に対するazithromycin単回投与製剤の多施設共同非盲験非対照試験

河野 茂1), 青木 信樹2), 二木 芳人3), 渡辺 彰4)

1)長崎大学大学院医歯薬総合研究科感染免疫学講座(第二内科)
2)新潟市社会事業協会 信楽園病院内科
3)昭和大学医学部臨床感染症学講座
4)東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門

要旨

 マクロライド系抗菌薬であるazithromycin(AZM)の新剤型,経口懸濁液用の徐放性製剤(単回投与製剤)の急性気管支炎および慢性呼吸器疾患の二次感染患者を対象とした第3相,多施設共同,非盲検非対照試験を実施し,AZM単回投与製剤2 g単回経口投与時の有効性および安全性を検討した。
 主要評価項目である臨床効果解析対象集団の第8日目の臨床効果(有効率)は,全体で93.3%(42/45例)であり,疾患別では急性気管支炎が97.0%(32/33例),慢性呼吸器疾患の二次感染が83.3%(10/12例)であった。第15日目および第29日目の有効率は,全体で97.7%(42/43例)および95.5%(21/22例)であった。
 細菌学的効果解析対象集団の細菌学的効果(菌消失率)は,全体で第4日目が78.9%,第8日目が84.2%,第15日目および第29日目ともに100%であった。疾患別の菌消失率は治療期間を通じて急性気管支炎は83.3%~100%,慢性呼吸器疾患の二次感染は71.4%~100%であった。
 安全性について,因果関係を否定できない有害事象の発現率は53.1%(34/64例)であり,主な有害事象は下痢であったが,全例で回復が確認された。重度の有害事象および死亡例は認められなかった。
 以上の成績から,AZM単回投与製剤は,呼吸器感染症(急性気管支炎および慢性呼吸器疾患の二次感染)の治療に対して2 g単回経口投与により,優れた臨床効果および良好な忍容性を示し,実際の臨床現場では,服薬コンプライアンスを含め,高い有用性が期待できる抗菌薬と考えられた。

Key word

azithromycin, single-dose, extended release, acute bronchitis, chronic respiratory disease

別刷請求先

長崎県長崎市坂本1-7-1

受付日

平成20年8月8日

受理日

平成20年11月10日

日化療会誌 57 (1): 15-25, 2009