Vol.57 No.1 January 2009
短報
本邦において1990年から2006年の間に分離されたmethicillin-resistant Staphylococcus aureusの抗菌薬感受性の経年的変化
明治製菓株式会社医薬総合研究所応用薬理研究所*
要旨
本邦で分離されたMRSA 228株(分離期間1990年から1993年:47株,1998年から2001年:100株,2005年から2006年:81株)のarbekacin(ABK),vancomycin(VCM),teicoplanin(TEIC)ならびにlinezolid(LZD)に対する経年的な感受性の変化を検討した。調査期間中,いずれの薬剤もMRSAに対する抗菌力に大きな変動は認められず,2005年から2006年分離MRSAに対するMICは,それぞれABK(MIC50:0.5 μg/mL,MIC90:2 μg/mL),VCM(1,1),TEIC(1,2),LZD(2,2)であった。2005年から2006年分離MRSAのうちアミノ配糖体修飾酵素AAC(6’)/APH(2”)をコードするaac(6')/aph(2")遺伝子保有株の割合は55.6%であり,2001年以降,僅かに増加した。また,TEICのMICが8 μg/mLを示したMRSA 6株はすべてvraS遺伝子内にアミノ酸置換を伴うI5N(5Ile→Asn)変異を有していた。
Key word
methicillin-resistant Staphylococcus aureus, clinical isolate, surveillance, drug susceptibility
別刷請求先
*神奈川県横浜市港北区師岡町760
受付日
平成20年10月3日
受理日
平成20年11月28日
日化療会誌 57 (1): 37-40, 2009