ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.57 No.2 March 2009

原著・臨床

Levofloxacin注射剤500 mg単回投与の健康被験者におけるQT間隔に対する影響

杉山 篤1), 福田 涼子2), 毛利 光志2), 藤田 朋恵3), 熊谷 雄治3)

1)山梨大学大学院医学工学総合研究部薬理学
2)第一三共株式会社研究開発本部
3)北里大学東病院治験管理センター

要旨

 Levofloxacin 500 mg単回静脈内投与のQT間隔に対する影響を評価するために,健康な日本人男女を対象としたプラセボ対照,単盲検,無作為化,2群2期クロスオーバー試験を実施した。年齢(20歳以上45歳以下または65歳以上79歳以下)および性別が均等になるように48名の被験者を登録した。第1期および第2期にlevofloxacinまたは生理食塩液を投与した。標準12誘導心電図を各投与期の点滴開始後0.5時間,1時間,1.5時間,2時間,2.5時間,3時間,4時間,8時間,12時間,24時間に記録した。デジタル心電図データは,中央心電図測定機関に送信され,背景情報が盲検化された後,マニュアル計測が行われた。QT間隔に対してはFridericia法(QTcF),Bazett法(QTcB)および試験集団固有のべき数(QTcP=QT/RR0.410)による心拍数補正を行った。線形混合モデルを用いて,QT間隔のベースラインからの変化量(ΔQT/QTc),ΔQT/QTcのlevofloxacin群とプラセボ群との間の差(ΔΔQT/QTc)および片側95%信頼区間の上限値を算出した。Tmax時のΔQTcFはlevofloxacin群で2.1 ms,プラセボ群で-1.3 ms,ΔΔQTcFは3.4 ms(片側95%信頼区間上限5.2 ms)であり,Torsades de Pointesを引き起こすリスクがないとされている範囲(ΔΔQT/QTc 5 ms以下)内であった。男性または非高齢者と比較して,女性または高齢者でΔΔQTcFが若干大きかったが,いずれも5 ms以下の作用であった。以上より,levofloxacinのQT間隔に対する作用はきわめて弱く,Torsades de Pointesを誘発する可能性は非常に低いと考えられる。

Key word

levofloxacin, QT interval

別刷請求先

山梨県中央市下河東1110

受付日

平成20年10月31日

受理日

平成20年12月12日

日化療会誌 57 (2): 106-114, 2009