Vol.57 No.S-1 March 2009
原著・臨床
健康成人男性におけるtebipenem pivoxil細粒の薬物動態および安全性の検討
1)株式会社浜松シーピーティ研究所*
2)明治製菓株式会社臨床開発部
要旨
Tebipenem pivoxil(TBPM-PI)は抗菌活性を有するTBPMをプロドラッグ化して経口吸収性を高めた新規の経口カルバペネム系抗菌薬である。今回,健康成人男性を対象にTBPM-PI細粒(100,200および400 mg(力価))単回経口投与時の薬物動態,代謝および安全性を検討した。
TBPM-PIは経口吸収後に速やかに活性本体であるTBPMに変換され, 主として腎より排泄された。血漿中および尿中に,主としてTBPMが認められ,代謝物であるTBPM開環体(LJC11,562)はTBPMに比較し少量であり,TBPM-PIおよびTBPM-PI開環体は検出されなかった。総累積尿中排泄率はTBPMとLJC11,562を合わせて約70~80%であり,TBPM-PIは高い経口吸収率を示した。糞中にはLJC11,562のみが投与量の約2%排泄された。
TBPM-PI細粒100~400 mg(力価)の用量範囲で,TBPMのCmaxは投与量の増加に伴い増加し,AUC0-∞は投与量に比例して増加し,消失の飽和は認められなかった。
安全性においては,すべての被験者に有害事象は認められず,TBPM-PI細粒100~400 mg(力価)単回投与時の安全性が確認された。
以上の結果より,TBPM-PI細粒は経口吸収性に優れ,速やかに活性本体であるTBPMに変換された。その後代謝を受ける割合は低く,主にTBPMとして腎より排泄されることが確認された。この優れた薬物動態プロファイルを有するTBPM-PI細粒は,臨床において高い有効性が期待できると考えられた。
Key word
tebipenem pivoxil, pharmacokinetics, healthy volunteer
別刷請求先
*静岡県浜松市中区助信町40-3
受付日
平成20年10月15日
受理日
平成20年12月12日
日化療会誌 57 (S-1): 90-94, 2009