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書誌情報

Vol.57 No.S-1 March 2009

原著・臨床

Tebipenem pivoxil細粒の小児細菌性肺炎を対象とした非盲検非対照臨床試験(第II/第III相試験)

岩田 敏1), 尾内 一信2), 岩井 直一3), 渡辺 彰4), 戸塚 恭一5), 堀 誠治6), 相澤 良夫7), 生方 公子8), 砂川 慶介9)

1)独立行政法人 国立病院機構東京医療センター小児科
2)川崎医科大学小児科学講座
3)元 名鉄病院小児科
4)東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門
5)東京女子医科大学病院感染対策部感染症科
6)東京慈恵会医科大学薬理学講座
7)東京慈恵会医科大学附属青戸病院消化器・肝臓内科
8)北里大学大学院感染制御科学府病原微生物分子疫学研究室
9)同 感染制御科学府感染症学研究室

要旨

 新規経口カルバペネム系抗菌薬であるtebipenem pivoxil(TBPM-PI)の小児における細菌性肺炎に対する有効性,安全性,服用性および薬物動態を一般臨床試験で検討した。用法用量および投与期間は,4 mg/kg×2回/日または6 mg/kg×2回/日の7日間投与とした。
 有効性解析対象59例における臨床効果は,有効率98.3%(58/59)であり,投与群別有効率の内訳は,4 mg/kg×2回/日投与群で100%(35/35),6 mg/kg×2回/日投与群で95.8%(23/24)であった。喀痰を採取できた10例のうち,全例において投与終了時までに喀痰は消失し,細菌学的効果は消失率100%(16/16)であった。原因菌として,Streptococcus pneumoniaeおよびHaemophilus influenzaeの分離頻度が高く,それぞれ5株,9株であった。
 安全性解析対象66例における自他覚症状に関する副作用発現率は,4 mg/kg×2回/日投与群が40.0%(16/40),6 mg/kg×2回/日投与群が30.8%(8/26)であった。また,臨床検査値に関する副作用発現率は,4 mg/kg×2回/日投与群が10.0%(4/40),6 mg/kg×2回/日投与群群が11.5%(3/26)であった。投与量の増加による発現率の増加は認められなかった。主な副作用は,水様便,泥状便,無形軟便および血小板数増加であった。程度が重度のものはなく,重篤な副作用も認められなかった。
 服用性については,両投与群での易服用率は89.4%(59/66)であり,「飲みにくい」「飲めない」と判定された症例はなかった。
 血漿中TBPM濃度が測定できた65例における薬物動態については,CmaxおよびAUC0-24hは投用量の増加に伴った増大が認められた。Tmaxおよびt1/2は投与量による違いは認められなかった。
 以上の結果から,TBPM-PIは小児における細菌性肺炎において,4 mg/kg×2回/日投与群で高い有効性を期待でき,安全性においても重大な問題はないと考えられた。また,高用量の投与が必要と判断された6 mg/kg×2回/日投与群で,CRP値,白血球数および耐性株の検出率が高かったにもかかわらず高い有効性を示したことから,症状・程度に応じて6 mg/kg×2回/日投与も有用であると考えられた。

Key word

tebipenem pivoxil, oral carbapenem, bacterial pneumonia, child

別刷請求先

東京都目黒区東が丘2-5-1

受付日

平成20年9月26日

受理日

平成20年12月19日

日化療会誌 57 (S-1): 137-150, 2009