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書誌情報

Vol.57 No.S-1 March 2009

原著・臨床

Tebipenem pivoxil細粒の小児臨床試験における安全性の検討

堀 誠治1), 砂川 慶介2)

1)東京慈恵会医科大学薬理学講座
2)北里大学大学院感染制御科学府感染症学研究室

要旨

 Tebipenem pivoxil(TBPM-PI)の安全性プロファイルの確認を目的として,小児を対象とした臨床試験の安全性解析対象である440例について解析を実施した。
 1.自他覚症状に関する有害事象について
 安全性解析対象440例の自他覚症状に関する有害事象発現率は46.6%(205/440),副作用発現率は23.0%(101/440)であった。有害事象の程度は軽度および中等度が9割以上を占めており,重度の事象と評価されたものはいずれも水様便であった。重篤な有害事象は3例3件が認められ,いずれもウイルス感染による偶発的な事象でありTBPM-PIとの因果関係は否定された。主な有害事象は下痢・軟便で,その他に嘔吐,鼻咽頭炎が認められた。痙攣の報告は認められなかった。
 2.下痢・軟便の副作用について
 安全性解析対象440例の下痢・軟便の副作用発現率は19.5%(86/440)であった。年齢群別では,3歳未満で発現率が高い傾向が認められ,また中等度および重度と評価されたものの占める割合が高かった。重度の事象を含め,脱水状態など全身状態に影響を及ぼすような事象は認められず,投与中止にいたった下痢・軟便の副作用は中等度の1例のみであった。
 3.臨床検査値異常について
 臨床検査値異常解析対象432例の臨床検査値に関する有害事象発現率は6.3%(27/432),副作用発現率は5.3%(23/432)であった。主な有害事象は血小板数増加,血中尿素増加,好酸球百分率増加であった。
 以上の結果より,国内外で初めて開発された経口カルバペネム系抗菌薬であるTBPM-PIの安全性プロファイルは,既存のカルバペネム系を含むβ-ラクタム系抗菌薬と異なるものではなく,臨床上問題となる重篤もしくは重大な副作用は認められず,小児感染症治療において安全に使用できる薬剤であると考えられた。

Key word

tebipenem pivoxil, child, adverse event

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

平成20年9月26日

受理日

平成20年12月15日

日化療会誌 57 (S-1): 192-204, 2009