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書誌情報

Vol.57 No.S-2 July 2009

原著・臨床

腎機能障害患者におけるlevofloxacin 500 mg投与時の体内動態

花岡 一成1), 川原 和也2), 長嶋 悟3), 堀 誠治4)

1)東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科
2)医療法人 真和会川原腎・泌尿器科クリニック
3)医療法人社団 三宝会志都呂クリニック
4)東京慈恵会医科大学薬理学講座

要旨

 腎機能障害を有する感染症患者に対し,より安全な用法・用量を検討することを目的に,腎機能障害患者にlevofloxacin(LVFX)500 mgを単回投与して腎機能障害の程度とLVFXの薬物動態との関係を検討した。さらに,得られた薬物動態パラメータから反復投与時の薬物動態をシミュレーションし,腎機能障害の程度による適切な用法・用量を検討した。
 腎機能障害の程度は,Ccrを指標として,正常・軽度障害群(I群:Ccr≥50 mL/min),中等度障害群(II群:20 mL/min≤Ccr<50 mL/min),高度障害群(III群:Ccr<20 mL/min)の3群に分類した。I群,II群およびIII群のAUC0-72hはそれぞれ81.7 μg・h/mL,151.0 μg・h/mLおよび250.7 μg・h/mLであった。また,t1/2はそれぞれ9.2 h,15.9 h,33.7 hであり,投与開始後48時間までの累積尿中排泄率はそれぞれ80.0%,56.4%,28.3%であった。腎機能の低下に従い,t1/2が延長するとともに,AUCは増大し,累積尿中排泄率は減少した。
 500 mg 1日1回7日間反復投与時の血漿中LVFX濃度をシミュレーションした結果,I群では,投与1日目以降のLVFX濃度に変動はほとんどみられなかったが,II群とIII群では,投与1日目から7日目まで経日的にLVFX濃度は漸増した。そこで,投与量および投与間隔の変更をシミュレーションにより検討した結果,II群では初日は500 mg 1回投与,2日目以降は250 mg 1回投与,III群では初日は500 mg 1回投与,3日目から隔日に250 mg 1回投与が妥当であると推定された。
 以上より,LVFXの腎機能障害者への投与に際しては,腎機能障害の程度に応じて1日投与量の減量や投与間隔を延長することで適切な用法・用量の調節が可能であると考えられた。

Key word

levofloxacin, renal dysfunction, pharmacokinetics, single administration

別刷請求先

東京都港区西新橋3-25-8

受付日

平成20年12月18日

受理日

平成21年5月21日

日化療会誌 57 (S-2): 12-19, 2009