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書誌情報

Vol.57 No.S-2 July 2009

原著・臨床

呼吸器感染症に対するlevofloxacin 500 mg 1日1回投与の臨床効果

河野 茂1), 渡辺 彰2), 青木 信樹3), 二木 芳人4), 門田 淳一5), 藤田 次郎6), 柳原 克紀7), 賀来 満夫8), 堀 誠治9)

1)長崎大学病院
2)東北大学加齢医学研究所抗感染症薬開発研究部門
3)新潟市社会事業協会信楽園病院内科
4)昭和大学医学部臨床感染症学講座
5)大分大学医学部総合内科学第二講座
6)琉球大学医学部感染病態制御学講座
7)長崎大学病院検査部
8)東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座感染制御・検査診断学分野
9)東京慈恵会医科大学薬理学講座

要旨

 日本人呼吸器感染症患者152例を対象にlevofloxacin(LVFX)500 mgを1日1回7日間投与し,有効性および安全性を非盲検非対照試験にて検討した。また,各患者の血漿中薬物濃度を測定し,ベイズ推定により患者ごとの薬物動態パラメータを算出し,有害事象および副作用発現との相関を検討した。
 臨床効果の有効率は95.1%(136/143例),微生物学的効果(陰性化)の陰性化率は100%(45/45例)であった。主な原因菌はStreptococcus pneumoniaeHaemophilus influenzaeMoraxella (Branhamella) catarrhalisStaphylococcus aureusおよびKlebsiella pneumoniaeであり,これらを含めて微生物学的効果(消失)判定が可能であった原因菌50株はすべて消失した。
 副作用発現率は39.5%(60/152例)であり,重篤な副作用として1例に肝障害がみられたがLVFXの投与を中止し,入院加療により回復した。重度の副作用はなく,いずれの副作用もLVFXの副作用として従来報告されている事象であった。本試験の血漿中薬物濃度の範囲では,LVFXの曝露量の増加に伴い有害事象または副作用の発現率に上昇傾向は認められなかった。
 以上のとおり,LVFXの500 mg 1日1回投与は呼吸器感染症に対して100 mg 1日3回投与と同等以上の十分な効果が期待され,その安全性に重大な問題はないと考えられた。

Key word

levofloxacin, respiratory tract infection, PK-PD, clinical study, once-a-day

別刷請求先

長崎県長崎市坂本1-7-1

受付日

平成20年12月17日

受理日

平成21年3月23日

日化療会誌 57 (S-2): 20-33, 2009