Vol.57 No.5 September 2009
総説
Levofloxacin 500 mg 1日1回~新用法・用量~
1)東京女子医科大学感染対策部感染症科*
2)長崎大学病院
3)産業医科大学泌尿器科
4)北里大学大学院感染制御科学府
5)東京慈恵会医科大学
要旨
Pharmacokinetics-pharmacodynamics理論をふまえて,levofloxacin(LVFX)の用法・用量として500 mg 1日1回の妥当性を,基礎および臨床試験により検討した。
基礎試験では,in vitroヒト血中濃度シミュレーションモデルを用いて殺菌作用および耐性菌の出現状況を検討した結果,500 mg 1日1回投与は現行の100 mg 1日3回投与に比べて,耐性菌の出現をより強く抑制することが期待できた。
臨床試験は日本および中国で実施した。投与終了時の臨床効果(有効率)は,呼吸器感染症が日本で95.1%(136/143),中国で97.3%(747/768),尿路感染症が日本で83.4%(131/157),中国で86.1%(253/294)であり,両国でほぼ同様の有効性が得られた。安全性は副作用発現率が29.1%(460/1,582)であり,主な副作用は浮動性めまい3.7%,悪心3.5%,白血球減少症3.2%,不眠症2.3%などであった。これらの副作用は,LVFXで従来から認められている事象であり,またその発現率も大きく変わるものではなかった。
以上,LVFX 500 mg 1日1回投与は耐性菌の出現を抑制し,現行の100 mg 1日3回投与と同様の安全性および有効性が期待される。
Key word
levofloxacin, PK-PD, once-a-day
別刷請求先
*東京都新宿区河田町8-1
受付日
平成21年6月8日
受理日
平成21年8月12日
日化療会誌 57 (5): 411-422, 2009