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書誌情報

Vol.58 No.1 January 2010

原著・基礎

CLSI M27-A3に準拠したCandida臨床分離株のmicafunginに対する感受性測定法

池田 文昭1), 鈴木 真言1), 長谷川 美幸1), 雑賀 威1), 小林 寅てつ2)

1)三菱化学メディエンス株式会社・化学療法研究室
2)東邦大学医学部看護学科感染制御学

要旨

 CLSIのCandidaなどの酵母様真菌に対するMIC測定に関するdocument M27-A3ではmicafungin(MCFG)などのキャンディン系抗真菌薬が追加され,さらに,ブレイクポイントMICも暫定的に2 μg/mL以下と設定された。MCFGのCandidaに対するMICは,従来,48時間培養後の発育の完全阻止(MIC-0)で判定される場合が多かったが,M27-A3では24時間培養後に発育対照の濁度に比較して約50%減少(MIC-2)で判定することを推奨している。われわれは,M27-A3に準拠したMCFGのMIC測定法の有用性を検証する目的で,日本で分離されたCandida臨床分離株を対象に従来法と比較検討した。
 2002年~2008年に各種臨床材料から分離されたCandida albicans 265株,Candida tropicalis 136株,Candida glabrata 100株,Candida parapsilosis 137株,Candida krusei 103株,Candida guilliermondii 107株に対する48時間培養後のMIC-0と24時間培養後のMIC-2でmicafungin(MCFG)のMICを比較した結果,C. guilliermondii以外の菌種に対するMIC50およびMIC90は判定基準により大きな差はなかったが,本菌種に対してはMIC-0のほうが4~8倍高値を示した。また,C. albicansおよびC. tropicalisの各2株においてMIC-0とMIC-2が大きく乖離した。M27-S3で提案されたブレイクポイントMICで今回の成績を分類すると,MIC-2ではすべての株がsusceptibleとなったが,MIC-0ではC. albicansC. tropicalisC. parapsilosisおよびC. guilliermondiiの一部の株がnonsusceptibleとなり,特に,C. guilliermondiiにおいて高率にnonsusceptibleの株が認められた。MCFGのブレイクポイントMICの妥当性については,臨床効果との相関性を検討するなどさらなる検証が必要と考えられた。

Key word

Candida spp, micafungin, antifungal activity, CLSI

別刷請求先

東京都板橋区志村3-30-1

受付日

平成21年10月13日

受理日

平成21年12月8日

日化療会誌 58 (1): 1-6, 2010