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書誌情報

Vol.58 No.1 January 2010

原著・基礎

血液およびその他の臨床材料から分離された緑膿菌の薬剤感受性推移(2007~2008年)

金山 明子1), 貴田 美寿々2), 伊与田 貴子2), 松崎 薫2), 渋谷 俊介2), 長谷川 美幸2), 雑賀 威2), 池田 文昭2), 小林 寅てつ1)

1)東邦大学医学部看護学科感染制御学
2)三菱化学メディエンス感染症検査部

要旨

 2007年および2008年に血液培養ボトルより検出されたPseudomonas aeruginosaを対象とし,各種抗菌薬に対する感受性を測定した。また,血液から本菌が検出された症例の血液以外の臨床材料から分離されたP. aeruginosaについても同様に測定した。血液由来の139株および血液以外の臨床材料由来の49株に対するciprofloxacin(CPFX)およびmeropenemのMIC50は0.25~1 μg/mLと低い値を示した。測定薬剤のなかで低い非感受性率を示した薬剤はamikacin(AMK)およびcolistin(CL)で2.9~6.1%であった。血液由来株のgentamicinに対する非感受性率が8.6%を示した以外,その他の薬剤には15.8~51.4%の非感受性率を示した。CLおよびpolymyxin Bに対して非感受性を示したすべての株はCLSIの基準で中間と判定されるMICを示し,耐性と判定されるMICは示さなかった。
 2005年から2008年の抗菌薬感受性の推移を調査した結果,血液由来株におけるimipenem非感受性株の割合は2005年株では34.1%であったが2008年株では19.4%に減少した。一方,cefepime(CFPM)に対しては16.5%から26.9%に上昇し,その他材料由来株のCPFXに対する非感受性株の割合も上昇が認められた。多剤耐性株は,1.6~6.5%の割合で継続し検出された。
 2005年以降,血液および血液以外の臨床材料から分離されたP. aeruginosaにおいて,カルバペネム系抗菌薬に対する非感受性株の減少が認められたものの低い値ではなかった。CFPM, CPFXに対しては耐性株の増加が認められ,多剤耐性株も継続して検出されているため,今後も抗菌薬感受性の動向を監視すべきである。

Key word

blood culture, multidrug-resistant Pseudomonas aeruginosa, metallo β-lactamase

別刷請求先

東京都大田区大森西4-16-20

受付日

平成21年9月8日

受理日

平成21年11月9日

日化療会誌 58 (1): 7-13, 2010