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書誌情報

Vol.58 No.1 January 2010

短報

埼玉医科大学病院におけるカンジダ血症の変遷―ミカファンギン導入前後を中心に―

樽本 憲人, 阿部 良伸, 山口 敏行, 前崎 繁文

埼玉医科大学感染症科・感染制御科

要旨

 新規の作用機序を有するエキノキャンディン系抗真菌薬micafungin(MCFG)がわが国で臨床使用可能となった。2003年埼玉医科大学病院でも使用され始めたが,MCFGの使用可能となった前後の,カンジダ血症の原因菌の検出頻度,治療薬の選択割合,転帰について比較検討した。対象期間は2000年1月から2003年12月(前期)と2005年1月から2007年12月(後期)で,症例を電子カルテその他から抽出した。症例数は前期84例,後期31例であった。原因真菌についてはCandida albicansが占める割合が前期、後期ともに最も多く,前期52.4%,後期40.0%であったが,Candida parapsilosisは前期23.8%に対し後期40.0%であった。最も使用された抗真菌薬は,前期はFLCZ,後期はMCFGであった。カンジダ血症の転帰に関しては,前期における死亡が46.0%,後期が12.9%と著明に改善していた。今後カンジダ血症に対してMCFGの使用が推奨されるが,カンジダ血症におけるnon-albicans Candidaの割合の増加についても注意を払う必要がある。

Key word

candidemia, fluconazole, micafungin, Candida albicans, Candida parapsilosis

別刷請求先

埼玉県入間郡毛呂山町毛呂本郷38

受付日

平成20年12月26日

受理日

平成21年10月27日

日化療会誌 58 (1): 14-17, 2010