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書誌情報

Vol.58 No.3 May 2010

原著・臨床

小児の細菌性呼吸器感染症に対するamoxicillin,cefcapene-pivoxilおよびfaropenemの多施設共同無作為比較試験

坂田 宏

旭川厚生病院小児科

要旨

 2008年10月から2009年3月までに,細菌性呼吸器感染症と考えられた16歳未満の患者を対象として,amoxicillin(AMPC),cefcapene-pivoxil(CFPN-PI),faropenem(FRPM)の有効性を検討する多施設共同無作為比較試験を行った。1日投与量はAMPCが30~40 mg/kg,CFPN-PIが9 mg/kg,FRPMが15 mg/kgであった。登録患者はAMPC 68名,CFPN-PI 68名,FRPM 76名であった。有効性はAMPC 64名,CFPN-PI 65名,FRPM 69名で検討したが,3群に有意差はなかった。疾患別の有効性は肺炎・気管支炎ではAMPCは34名中31名(91.2%),CFPN-PIは33名中30名(90.9%),FRPMは38名中36名(94.7%)が有効であった。咽頭炎・扁桃炎ではAMPCは27名中27名(100%),CFPN-PIは31名中30名(96.8%),FRPMは30名中29名(96.7%)が有効と判定された。A群溶連菌感染症における除菌率で4~6日間投与例はAMPCが15名中15名(100%),CFPN-PIが18名中18名(100%),FRPMが14名中10名(71.4%)と有意にFRPMの除菌率が低かった。7~10日間投与ではAMPCが9名中8名(88.9%),CFPN-PIが4名中3名(75.0%),FRPMが10名中7名(70.0%)と,FRPMの除菌率が低かった。副作用はAMPC 66名中9名(13.6%),CFPN-PI 66名中5名(7.6%),FRPM 72名中10名(13.9%)に下痢が認められた。服用性ではAMPCは66名中41名(62.1%),CFPN-PIは66名中24名(36.4%),FRPMは71名中62名(87.3%)で服用が容易と評価され,有意にFRPMの服用性が優れていた(p<0.001)。

Key word

amoxicillin, cefcapene-pivoxil, faropenem, pneumonia, child, respiratory tract infection(RTI)

別刷請求先

北海道旭川市1条通24

受付日

平成22年1月12日

受理日

平成22年4月5日

日化療会誌 58 (3): 239-247, 2010