ページの先頭です
ホーム > バックナンバー > 目次 > 書誌情報
言語を選択(Language)
日本語(Japanese)English

書誌情報

Vol.58 No.4 July 2010

原著・臨床

PK-PD理論に基づく抗菌薬用法・用量設定の普及に関する実態調査―社団法人日本化学療法学会評議員を対象として―

木津 純子1), 岩田 敏2), 草地 信也3), 佐藤 淳子4), 佐藤 吉壮5), 山藤 満6), 武田 博明7), 舘田 一博8), 堀 誠治9)

1)慶應義塾大学薬学部実務薬学講座
2)国立病院機構東京医療センター小児科
3)東邦大学医療センター大橋病院外科
4)医薬品医療機器総合機構
5)富士重工業健康保険組合総合太田病院小児科
6)同 薬剤部
7)済生会山形済生病院内科
8)東邦大学医学部微生物学・感染症学講座
9)東京慈恵会医科大学薬理学講座

要旨

 Pharmacokinetics-Pharmacodynamics(PK-PD)理論に基づいた抗菌薬投与法設定の重要性が強調されているが,臨床現場でどの程度PK-PD理論に関する知識が普及しているのか,またPK-PD理論に基づいた投与設計が行われているかについては,明らかではない。そこで,今回,社団法人日本化学療法学会評議員を対象に,PK-PD理論に関する知識の普及およびPK-PD理論に基づく投与計画の実践に関するアンケートを実施した。
 アンケートを送付した444名中179名から回答が得られた(回答率40%)。そのうち医師は141名であった。医師を対象に,PK-PDに関する知識レベルを解析すると,よく知っているが78例であり,そのうち52名がPK-PD理論が大変有用であると評価していた。投与設計においてPK-PD理論を考慮すると答えたものの割合は,カルバペネム系薬(78%),アミノグリコシド系薬(77%),注射用セフェム系薬(75%)であり,経口キノロン系薬では55%であった。今後,抗菌薬の適正使用を推進するためには,PK-PD理論ならびにその実践について,広くその重要性を発信するとともに,投与法設定に必要な情報の収集が可能となる環境の設定にも留意する必要のあることが考えられた。

Key word

antimicrobial agents, PK-PD, dosage, questionnaire survey

受付日

平成21年6月8日

受理日

平成22年4月13日

日化療会誌 58 (4): 460-465, 2010