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書誌情報

Vol.58 No.S-2 October 2010

原著・基礎

Tosufloxacin tosilate hydrateの幼若動物における毒性試験およびクラスエフェクトに関する検討

古坊 真一1), 福田 均1), 小崎 司1), 阿久根 淳2), 三善 隆広1)

1)富山化学工業株式会社綜合研究所
2)株式会社新日本科学

要旨

 Tosufloxacin tosilate hydrate(TFLX)の幼若動物における毒性を検討するため,ラットの単回ならびにラットおよびイヌの反復経口投与毒性試験を実施した。また,キノロン系薬のクラスエフェクトとして知られる関節毒性,QT延長作用および血糖への影響を検討した。
 7日齢ラットの単回経口投与試験の結果,致死量は6,000 mg/kgを上回る量であった。7日齢ラットの1カ月間反復経口投与試験では,3,000 mg/kgで雄1例が死亡し,生存例には一過性の体重増加抑制がみられた。1,000 mg/kg以上で腎尿細管に結晶がみられたが,成熟ラットでも認められる軽度の変化であった。300 mg/kgでは上記の変化はみられなかった。3週齢イヌの1カ月間反復経口投与試験では,300 mg/kg以上で摂餌量低下および体重増加抑制がみられたが,同様の変化はnorfloxacin(NFLX)やciprofloxacin hydrochloride hydrate(CPFX)でもみられた。150 mg/kgでは異常はなかった。
 3カ月齢イヌの2週間経口投与関節毒性試験では,50 mg/kg以上で肩関節に微小な水疱やびらんがみられたが,NFLXやCPFXに比べ弱い変化であった。
 QT延長作用の検討では,hERG電流の軽度抑制(約5%,hERG導入HEK 293細胞)が10 μmol/L以上でみられたが,イヌのテレメトリー試験では100 mg/kgまでの経口投与で血圧,心拍数および心電図に影響はなかった。
 血糖およびインスリン分泌への影響をイヌで検討したが,600 mg/kgまでの経口投与で影響はなかった。
 以上のように,本薬の関節毒性はNFLXおよびCPFXより弱く,他に幼若動物で特有の毒性および増強される毒性はなかった。また,QT間隔,血糖およびインスリン分泌にも明らかな影響はなかった。

Key word

tosufloxacin, juvenile animal, adverse effect

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成22年4月20日

受理日

平成22年6月9日

日化療会誌 58 (S-2): 12-23, 2010