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書誌情報

Vol.58 No.S-2 October 2010

原著・臨床

Tosufloxacin細粒10%の小児細菌性肺炎を対象とした非盲検非対照臨床試験

岩田 敏1), 岩井 直一2), 尾内 一信3), 坂田 宏4), 砂川 慶介5)

1)慶應義塾大学医学部感染制御センター
2)元 名鉄病院小児科
3)川崎医科大学小児科学講座
4)JA北海道厚生連旭川厚生病院小児科
5)北里大学北里生命科学研究所特別研究部門

要旨

 小児細菌性肺炎を対象にTFLXを1回4 mg/kg又は6 mg/kgを1日2回投与し,有効性,安全性,服用性を評価し,薬物濃度も測定した。
 本薬剤の有効率は100%(48/48)であった。また,細菌学的効果は63.9%(23/36)であり,菌の消失率は70.9%(39/55)であった。
 服用性は「非常に飲みやすい」が28.6%(18/63),「飲みやすい」が68.3%(43/63)であった。
 有害事象は45例109件に発現し,発現率は71.4%(45/63)であった。主な有害事象は下痢22.2%(14/63),嘔吐20.6%(13/63)であり,高度なものはなく,中等度の有害事象は6例6件[下痢2件,嘔吐,気管支炎,熱傷,鼻漏],軽度なものは45例103件であった。副作用は28例41件で,発現率は44.4%(28/63)であった。主な副作用は下痢11.1%(7/63),嘔吐9.5%(6/63)であった。中等度の副作用は1例1件(下痢),軽度の副作用は28例40件であった。キノロンの小児投与で問題となる関節の有害事象は5例5件(関節痛2件,頸部痛,四肢痛,疼痛)発現した,頸部痛,四肢痛,疼痛の各1件は「関係なし」,関節痛2件は「関係あるかもしれない」と判定された。関節痛が発現した2例のMMP-3値は,投与前後で高値を示さず,短期間に消失し臨床上問題はなかった。また,背景因子別の有害事象発現率に差はなかった。用量別の有害事象発現率は,4 mg/kgで65.8%(25/38),6 mg/kgで80.0%(20/25)であった。
 小児細菌性肺炎患者の4 mg/kg又は6 mg/kgの投与は,成人承認用量の1回102 mgと204 mg投与時の血漿中薬物濃度範囲に収まることが確認でき,成人と同様の臨床効果が期待できる結果と考えられた。
 以上より,小児細菌性肺炎にTFLX 1回4 mg/kg又は6 mg/kgを1日2回投与することで高い臨床的有用性が期待できると考える。

Key word

tosufloxacin, child, pneumonia

別刷請求先

東京都新宿区信濃町35

受付日

平成22年5月14日

受理日

平成22年7月29日

日化療会誌 58 (S-2): 32-49, 2010