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書誌情報

Vol.58 No.S-2 October 2010

原著・臨床

Tosufloxacin細粒10%の小児急性化膿性中耳炎を対象とした非盲検非対照臨床試験

鈴木 賢二1), 飯野 ゆき子2), 工藤 典代3), 泰地 秀信4), 砂川 慶介5)

1)藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院耳鼻咽喉科
2)自治医科大学附属さいたま医療センター外科系診療部耳鼻咽喉科
3)千葉県立保健医療大学健康科学部栄養学科
4)独立行政法人 国立成育医療研究センター外科系専門診療部耳鼻咽喉科
5)北里大学北里生命科学研究所特別研究部門

要旨

 小児急性化膿性中耳炎患者を対象にニューキノロン系薬であるtosufloxacin(TFLX)を1回4 mg/kgまたは6 mg/kgを1日2回投与し,有効性,安全性,服用性を評価し,血漿中薬物濃度も測定した。
 投与終了時または中止時の有効率は4 mg/kg投与群では97.7%(125/128例),6 mg/kg投与群では94.1%(32/34例)であり,全体として96.9%(157/162例)であった。また,集団保育の有無,中耳炎重症度および前治療抗菌薬の有無にかかわらず,高い有効率を示した。また,原因菌は,Streptococcus pneumoniaeおよびHaemophilus influenzaeが主に検出され,Penicillin intermediately resistant S. pneumoniae(PISP),Penicillin resistant S. pneumoniae(PRSP),β-lactamase non-producing ampicillin resistant H. influenzae(BLNAR)等の耐性菌を含めて,投与終了時または中止時の菌消失率は99.0%(97/98株)であった。投与終了2週間後の再発率は7.0%(10/142例)であった。服用性が「非常に飲みやすい」または「飲みやすい」と判定された患者は97.7%(168/172例)であった。
 有害事象は全体で102例に165件発現し,発現率は59.3%(102/172例)であり,副作用は34例48件で,副作用発現率は19.8%(34/172例)であった。発現率が高かった有害事象は,下痢8.1%(14/172例)および嘔吐6.4%(11/172例)であった。関節に関連する有害事象は,3例3件(関節痛2件および挫傷1件)発現したが,薬剤との因果関係は否定された。
 以上,TFLX細粒は,各種耐性菌を含む難治化のリスクファクターがある小児急性中耳炎の治療薬の選択肢として有用であると考えた。

Key word

tosufloxacin, child, acute otitis media

別刷請求先

愛知県名古屋市中川区尾頭橋3-6-10

受付日

平成22年5月18日

受理日

平成22年9月7日

日化療会誌 58 (S-2): 50-68, 2010