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書誌情報

Vol.58 No.6 November 2010

原著・基礎

In vitro pharmacokinetic modelにおけるStreptococcus pneumoniaeに対するpazufloxacinの殺菌効果および耐性化の検討

久田 晴美, 福田 淑子, 古家 由理, 高畑 正裕, 野村 伸彦, 満山 順一

富山化学工業株式会社綜合研究所

要旨

 Pazufloxacin(PZFX)1,000 mg×2回/日投与時のStreptococcus pneumoniaeに対する有効性を評価するため,ヒト血清中蛋白非結合体濃度を再現したin vitro pharmacokinetic(PK)modelを用い,殺菌効果ならびに耐性菌出現の有無について500 mg×2回/日投与時と比較検討し,以下の成績を得た。
 1)S. pneumoniae D-979に対し,1,000 mg×2回/日投与時では24時間後に再増殖は認められず,強い殺菌効果を示した。500 mgおよび1,000 mg×2回/日投与時の殺菌曲線上面積(area above the killing curve:AAKC)は76.1および>104 ΔLog CFU・h/mLであり,1,000 mg×2回/日への増量により殺菌効果は増強した。本菌株に対する1,000 mg×2回/日投与時のfree AUC(fAUC)/MICは35.3で,500 mg×2回/日投与時に比べ2.4倍大きかった。
 2)PZFX 500 mg×2回/日投与時の24時間後の菌液では,薬剤非添加時に比べ感受性が1/2に低下したポピュレーションが一部認められたが,GyrA, GyrB, ParCおよびParEのキノロン耐性決定領域(quinolone resistance-determining region:QRDR)にアミノ酸変異はなく,reserpine添加により影響を受ける薬剤排出ポンプの発現亢進は認められなかった。一方,1,000 mg×2回/日投与時では感受性の低下したポピュレーションは認められなかった。
 以上,PZFX 1,000 mg×2回/日の用量は,S. pneumoniaeに対し,有効性の確保ならびに耐性菌出現抑制の観点から有用である可能性が示唆された。

Key word

pazufloxacin, in vitro, pharmacokinetic model, Streptococcus pneumoniae

別刷請求先

富山県富山市下奥井2-4-1

受付日

平成22年8月6日

受理日

平成22年9月13日

日化療会誌 58 (6): 644-649, 2010