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書誌情報

Vol.59 No.1 January 2011

症例報告

シプロフロキサシン併用によりフェニトインの血中濃度が低下した1症例

面田 恵1), 松田 翔平2), 山本 諭1)

1)独立行政法人 労働者健康福祉機構大阪労災病院薬剤部
2)独立行政法人 労働者健康福祉機構中国労災病院薬剤部

要旨

 フェニトイン(PHT)服用患者においてシプロフロキサシン(CPFX)を併用したことによる相互作用と考えられるPHTの血中濃度低下を経験したので報告する。症例は49歳男性,けいれん重積発作に対して抗てんかん薬PHT(250 mg/day)を服用中。血中濃度は16.5 μg/mLで維持されていた。事故による緊急手術で脾上極の動脈に対して塞栓術施行。その後,感染症を発症しCPFXが開始となった。経過は良好であったものの,10日目に全身性痙攣が出現し,PHTの血中濃度を測定したところ1.02 μg/mLであった。ただちにCPFXを中止し痙攣コントロールを行った。CPFX中止によりPHT血中濃度は,5.75,8.18,10.06 μg/mLと上昇した。同検体の非結合型PHT濃度はいずれも10%前後であった。また,尿中のpHは6から6.5と若干上昇していた。
 今回われわれが経験した症例と同様の事例が海外で報告されておりCPFX併用によりPHT血中濃度の低下が起こった可能性は高い。臨床においてCPFX併用の際にはPHT血中濃度をモニタリングし至適な濃度を得ることが必要である。

Key word

phenytoin, ciprofloxacin, side effect

別刷請求先

大阪府堺市北区長曽根町1179-3

受付日

平成22年5月14日

受理日

平成22年9月29日

日化療会誌 59 (1): 25-28, 2011